葬送のフリーレン、その後

@dokushinkizoku-

第1話 久しぶりの出会い

朝靄の中に光がひとつ上下左右と揺れている日の出前の森の中、


それは首から下げた懐中電灯の様に男が歩いている動きに合わせ揺れていた、ボロボロでシャツとは到底呼べぬ、なめし革を縫い合わせた様な上着、首から麻縄でグルグル巻にされた石が光り、男の顔と首辺りを照らしている。時折、足元止め光源で遠くを照らす。


原生林の様な鬱蒼としたジャングルを男は慣れた足取りで大きな木の根飛び越えなから、ひたすら歩く、その男はジャングルに似つかわぬ程軽装だ。


彼にとってはこの原生林が庭なのだろうか、大きなセコイアの木に掘り傷があり、なにかの言語かも分からぬ目印のようなものが彫り込まれている。そこに彼は目をやり、文字を指でなぞる。「あぁ」


そもそもジャングルにセコイヤの木があるだけで人の手が入っていることがわかる。

原生林を歩けど歩けど昆虫以外の生命体は出くわさない。「はぁ」ため息をついた


日暮れに彼は海岸に辿り着き、今まで来た道無き道を何日かかけて引き返し、出立地であろう洞窟に戻り着いた。


洞窟の入口を塞ぐように木造の壁や扉が着いている。


彼が洞窟に入ると首に下げていた石を手に取った。

その途端洞窟全体が光り始める。

洞窟全体が封魔鉱床でできている。

彼の膨大な魔力により洞窟全体が明るい



心の声「1000年程度で島全体の生態系が変わってしまった。食うものが無くなった。この島を出なくてはいけなくなったなぁ……大陸に戻るか…大陸の街並みも国もすでに変わってしまったんだろうなぁ……ん?言語が変わってしまった恐れがあるなぁ……妻であり、1番弟子があれだから……自分の魔法理論を信仰の持つものを対象に加護魔法としての倫理を人間に残した。妻があっちで健在であれば使えるはずだ……どこまで人類は暗号解読したか気になるなぁ……孫弟子のエーヴィヒに俺の雲孫でエービヒの弟子ゼーリエ……あの弟子は妻の残したものより、私の残した魔法を好んで使っていたなぁ……その弟子でフランメ、その又弟子でフリーレンって小娘がいたが……当時で200歳前後今なら1300歳くらいか……ちょうどいい年頃だなぁ……彼女は魔法を理論建て新たな高みへと研鑽を積んでくれているだろう……最後に人と話したのは1000年程前のフランメとフリーレンが最後か……フランメは人間で呪いを受けていないから死んだはず。呪われた種族のエルフはなら生きている、俺は不老不死の呪いがあるから死ぬことは無いが飢餓状態の辛さは知っている……この島から出ると封魔鉱が少なくなるため私の所在が直ぐにバレるなぁ、めんどくさいなぁ……」


この島は封魔鉱石でできた島だった様で彼の何かの覚悟と同時に島全体が光出した


「さて、行くか!」

男が宙浮く、森の中の木々が男を避け島の海岸まで一気に進むと空中で男は振り返り島から飛び出し、男は高度を上げ加速していく自分の存在する惑星が丸みを帯び大陸の海岸線が見えた。その海岸線を目指し一気に降下していく様は弾道を描いた投石器の様だ。


男は大陸の最南端にある海岸線に降り立った。



心の声「おやおや?降り立った先が魔法による束縛を受けている、理論はわからんが世界中に広がる設計になってるなぁ……早速だか、封魔鉱の元素配列を使い逆行して吸収しておこう、上手く術者まで絡め取れれば面白いのだが……実に面白い、この魔法は魔族の魔法、魔神の系列魔法ってことは人神と魔神の争いはまだ続いてる様だ。人類もまだまだ甘いな」声が漏れる「あははは」


一方その頃、各国各地の魔法使いが異変に気がつく、「なんだこの魔力は魔力感知の圏外からなぜ」

のんびりの読書中のゼーリエが「あはは、神々の島から出できたか」


オレオールの帰路の4人組が川辺の道をのんびりと歩いている

「フリーレン様!」

「わかっている!」

ザインが落ち着きを失い「何だこの魔力!」

シュタルクは歩きながら干し肉を食べている。「なになに?これ俺の分だって朝貰ったやつをちょびちょび食べてるだけだからやんないよ!」

「いりません」


フリーレンが空を見上げると澄んだ青空に何がキラリと光る。

「補足されたみたいだね、転移する前にこちらの様子を伺っている。魔力感知が切れると同時に来ると思うけど絶対に手を出してはダメだよ」

ザインが首を振りながら「そんなやつ居ないだろ船でも2年は掛かるほど遠くに感じたぞ、それとそんな遠くから魔力を感じる化け物に手は出さないし……ぉ?消えた」

「ザイン、化け物とは真逆だよ」

……

……

「来ないですね」

……

……

パチャパチャと水の音がすると川の水面から男が岸に上がってくる

全裸だった様子がみるみると服が皮膚から湧いてくる。

ザインの服装と同じデザインになった

頬を撫でふと髭が剃れて髪を描きあげれば整った。

「よぅフリーレン1000年振りか?」

水面から岸辺の小高い道に向かって声をかけた。

パーティ全員が自ら上がってくる男に目をやる

「そうだね」

「フリーレン様この方は……」

「神だよ」

「え?……」

ザインは溜め息混じりに

「ォィォィ、女神様でもその存在を確認出来ない時代に神様かよ、フリーレンお前といると不思議な事が当たり前になる」


男は黙々と斜面を上りフリーレンの前に立つ

「久しぶりだけど……なんかよう?」


男はうつむき加減に

「島に食い物が無くなったんだ。生態系の管理が甘かった。南は家畜化が出来ない動物が多かった様だな。肉を食わせてくれ。それと今の時代を教えてくれ、家畜になりそうな動物を島に連れて帰る手伝いをして欲しい。それとなフリーレンお前はわかっていると思うが俺は……神ではない普通の人間だ」


「フリーレン様どういう事ですか?」


「彼は5万年以上からいる、エルフの祖先……神を殺し神になった、人と女神の使う魔法の開祖だよ。神話の時代以前から生きている存在だよ」

「俺の紹介をありがとう、フリーレンここ1000年位の情勢を教えてくれ、あと……食いもんもな!」


「皆んな、悪いけどここで野営するよ、1000年を一晩で語れる自信が無い」


男が苦々しく

「野営か付き合わせて悪いな、腹が減っててな」と言いながら川沿いの小道に眼をやると木々がミシミシと音を立て野営用に屋根を作り始めている。


「フリーレン様、あの方の魔法には魔法陣も何も無く発動してます。」


「だから嫌いなんだよね、なんの参考にもならないし、魔法的法則は全て無視で意思で発動する魔法なんだよね、魔法はイメージの世界って言うけど、困った事にイメージがそのまま魔法になるんだよ」


野営の準備か着々と進み

「ところでフリーレンお前は飯を作れるのか?」


「フェルンが作るよ、なかなか美味しいよ」


「ん?フェルンって何言ってんのかと思ってたら名前か……」

と言いながらザインに目をやる

「俺は僧侶のザインだ」

次は赤髪の青年へ

「俺は戦士シュタルク」

若い女性へ

「……私はフリーレン様の弟子てフェルンと言います。」


皆を一通り顔を見るフリーレン

「皆んな自己紹介は終わったね」


男が不思議そうに、

「なぁ?この時代は皆んな名前があるのか?驚いたぞ、俺はマグアト王の領地リャトーニャ村の丘の上の羊飼いの2番目の倅だ、村の皆は俺を丘2番と呼んでいた」


現存も古典や神話でも聞いた事がない領主や村の名前が出てきたようで、他の者は不思議な顔をしていた。


「前に会った時あまり話さなかったけど本当に人間だったんだ」


「今も人間だ」


「私がこの1000年を話す前に質問があるんだけど……いいかな?」


「ちょっと待てフリーレン」

ザインが割って入る

丘2番がザインに目線を向けた。


「女神様は居るのか?」

見下した目線で

「はぁ……自分の所在も示さずにあの女は……北の果てに居るはずだ、あの女は永久にあそこに間違いなくいる」


フリーレンが質問以外にやることの無いザインに促す。

「ザインそこに座って、折角全ての魔法の開祖がいるんだから魔法の講義を受けようよ」



ヤレヤレという態度でザインが偶然にあったった石に腰を下ろした


丘二番は呆れ顔で溜め息混じりに

「フリーレン魔法とはなんだ?」


この話題にフリーレン

「随分優しいね、本当に講義をしてくれるの?1000年以上魔法と暮らしてきたし。今じゃ私だって大魔法使いと呼ばれるんだよ、だからそれなりの講義をお願いしたいかな、ここ1000年の話と交換条件だよ」


「では聞くがフリーレン魔法は好きか?」


「何となく好きかな」


「次、魔力ってわかってるか?修行や努力をすれば器の総量は増える、では……魔力って力はどこから来る?何が源だと思う?魔族だろうと人間だろうと魔法を使うには魔力に頼るのは同じだ……

違うのはその使い方の原型だなんだよ。

魔力とは生命力と自然界の力の根源だ。」


フリーレンの目が輝き

「そうだね、興味がある話だけど、基礎中の基礎は分かるよ」


ザインが不服そうに

「女神様の存在を聞いたら結局魔法の話持っていかれた。」


徐ろにわらわらと近隣から炊き木が集まり始めた。丘2番が土に手を入れると土鍋が出できた。

「野営だろ、準備位は手伝う。」


シュタルク集まった薪を組み上げそうとする

その姿をみつつ

「今の時代は皆名前持ちか……へぇー、」と関心している丘二番


男はもう一度全員の顔を確認し始め何かを納得したように話始めた。

「大陸に渡りながら魔力を解放してこの星全体をざっくりだけど調査した。エルフ種族は今現存で700人程度だ、ドワーフ種族で1万人程度、純粋な人間で俺を含め10億人程度だった……エルフとドワーフがなぜここまで衰退した?俺の子供達は……フリーレンお前の知っている事を話してくれ」


自分の質問を蔑ろにされ興味が無くなったのかフリーレンが面倒くさそうに答えた。

「あなたの雲孫のゼーリエなら生きているから詳しいことは彼女に聞いた方がいいかもね」


フリーレン以外全員が

「ええ!」っとドン引きしてたところ

ザインが呟く

「雲孫って何代目だよ、そしてなんでお前まで引いてるんだ?」と指を折っている。


その突っ込みからザインが

「大魔法使いゼーリエはこの男の雲孫?って事は血筋なのか?」


フリーレンが火の着いていない薪木を眺めながら

「エルフやドワーフでは良くある、数世代に渡って孫がいる」


会話に突然シュタルク会話にが入ってきて

「フリーレン火を頼むよ、今フェルンが準備してるから、怒られる前に俺は川から水を汲んで来るよ」


すると自称丘二番と名乗る男がシュタルクをマジマジと顔を近づける。

「いい戦士だ、実にいい、バランスが取れている」

食材を準備するフェルンが手を止め振り向きざまに

「フリーレン様この方を丘二番様とお呼びすればよろしいのですか?」

フリーレンはあまり興味がないようだが

「フェルンが言うし当時の言語だとなんて呼ばれてたの?」

やっと男が腰を下ろし

「今の言語だと発音が難しいから略すとディア・ファルトン、5万年程前には全能のファルトンって呼ばれていた」


一同が

「………」


「魔法の話に戻すが神の魔法は神聖系魔法と私の考案した物理系魔法、自らの肉体を強化する人体系魔法が俺の系譜から生まれたんだ」

フリーレンが口お尖らせ

「やっぱり神なんじゃん……」

ザインは腑に落ちなさそうに

「女神様の話は……」

フリーレンが着き始めた焚き火をいじくり、空気を吹き込んでいた。


フリーレンの会話に合わせたり、ザインの質問に合わせたり、会話が右往左往している。


「それなんだが俺は神であり、神ではない、神譲りの呪いを受けただけだ、また話しがそれだが魔法は魔力放出による物理的事象に過ぎない、それが魔法だ」


完全に火が起きてきた。

ザインが生唾を呑みながら

「神譲りが気になる」


「ザインお前は加護を受けてるな。信仰系だと研鑽が疎かになる……どんなに加護を受けても……」

ドサ!とザインが倒れた。

「と……この様に呪いと言われる魔法が掛かる。」

ガバ!とザインが起き上がった。

「オイオイ、俺で遊ばないでくれ。」


「へへへ……まぁこの様に研鑽を積まないといとも簡単に呪いと言われる分野の魔法に掛かる、で、でだ、これが加護でなく魔法なら返せる。まぁ他力本願の加護系には分からないことだな。それと魔法の講義…それなら長くなるから先にここ1000年の話をしよう」


不服そうにフリーレンがディアを睨む


「私の質問が……」

ザインも不服そうに

「女神の存在が……」


「あまり面白い話じゃないよ?前だって魔王が現れた時、あんたに相談に行ったじゃん、フランメもあなたに会いに行く途中で私を弟子にした。フランメは女神が「私はここを離れる事が出来ません、南の島に神が居るから訪ねてみなさい」って言われたんだって、それが1000年位前の事」


ザインがドン引きして……

「フランメって女神に会ってるのか」


フリーレンは首を横に振りながら

「詳しくは知らない」


ディアが周りをキョロキョロしながら

「ところでフリーレンこの辺りに居る野生の鹿はとっていいか?」


「いいと思うよ。ここは元々魔王領だったから野生の鹿まで利権のある土地じゃない」

水を汲み終わり少し離れた場所に腰を下ろし我関せずを決め込んだ青年に

「さてさて、シュタルクは刃物使うの得意か?野生の鹿を解体して欲しいのだが」


シュタルクは下を向きオドオドしながら

「俺……血を見るのが苦手で……だいたいが俺は肉屋じゃない!」


男はキョトンとしていた

「わかったよ、ならば……」


ギェーっと聞いたこともない動物の叫び声が聞こえる


その後ワラワラと肉の断片や皮、骨に別れて野営地に集まってきた。


フリーレン一同はドン引きしていた。

「もはやなんでもありだね」


ディアはニコニコしながら

「肉がないとな」


料理は着々と進み


しばらく無言が続いた……


口火切ったのはディアだった

「女神と呼ばれている存在は俺の妻だ。神譲りを受けた後に恋をして結ばれた、そして彼女も呪われ不老不死となった、仲睦まじいく1万年ほど過ごした。沢山の子供に恵まれたが、呪われ子供が次々と生まれたんだ。体が丈夫だが大きくならない子供は後にドワーフと呼ばれ、魔力は高いのに体の弱い子はエルフと呼ばれた。魔力を体外一切出さず自分の肉体内で燃焼させる子。何故かその子は人間らしい寿命で死んだ。妻はその子達が死んで終わりと考えず。人間には魂があるとの考えに至り、大陸北方に魂の集まる地を作ったオレオールを作った。ここまでは皆の知ってる通りだよな?」



その質問に答えたのはフリーレンだった

「もはやなんでもありだね、そんな事誰も知らないよ」


「まぁ大昔だからなこの頃が約5万年前文字も無い時代だ。ひとつ彼女の秘密を教えてあげるよ……沢山の子供の声を聞くため耳が大きくなった、」


「まぁそれで自分を信仰する人間に加護を与える、自動的な魔法を作った。悪用されないよう自分が古代文字で書いた魔導書を人間に託した。」


「妻は先立つ子供達の悲しみから耐えられず北にオレオールをつくり、女神として崇拝されている。俺は生き残っている子供達、エルフとドワーフに魔力の使い方、魔法の基本的な使い方を教えた。一見特徴がないが魔力を放出出来ない子供には剣術等を教えていた。」


「ドワーフの魔法はものづくりへ、剣や装備に魔法封じ込めた。」


「エルフは魔法の修練し始めていた」


「剣士たちは自分の限界を超えて行った」


「人々はドワーフの作った鍬や鋤を持って農業に励んでいた」


「俺が神譲りを受けた時には既に魔物で世の中が溢れかえっていた」


「俺ら神々の役目は人類が自立し、自分の身で人類を守る事、これは先代から引き継いだもので、そのさらに先代は人類の数を減らす事だった。その目的の為に先々代魔物を亜空から召喚したんだ。」


「そして魔物が知性を持つよう進化して行った」


フリーレンか被せた

「魔族だね」


うんと頷くディア

「何故、魔物やフランメの提唱する魔族が人間を食べるか知ってるか?」


一同黙る

「効率がいいからだ。全ての生き物には魔力がある。人間は植物や魚、肉、なんでも食べる。それを体内に貯めるのが人間で、大概の人間は少しづつ体外放出する。魔法の全く使えない人間でも気配は感じる事もあるだろ?あれだ」


ザインが気になっている事を唐突に聞き始めた。

「まぁ……女神様はお前の奥さんって事はわかったが何故呪いを受けた?」


ディアが少し怒り気味に

「ザイン俺の方が5万年歳上だぞ」


ザインも少ししょんぼりしながら

「見た目が子供で……すまん」


ディアが微笑む

「話を変えてその話は今からの軽い実践のあとの方が説明しようか」


ディアが立上り

川の方へ向かう

地面に手を付き……

地面が光り始めた


フェルンが驚いて

「フリーレン様見たことも無い魔法陣です。」


「フェルン、私も見た事ないよ」


ディアが振り向きながら

「俺は久しぶりに魔法陣を書いたよ」


地面から大きな影が湧き上がり

大きな杖を持ちボロ布に覆われた何かが湧き出た。


「紹介するよエルダーリッチだ」


「食前の運動だ戦ってみろ」


ボロ布の隙間から髑髏が見えた


全員が身構え戦闘態勢になる

シュタルク骨髄反射的に飛びかかり

ザインが聖典を召喚

フリーレンとフェルンは杖を召喚


フェルン杖の召喚と同時にゾルトラークを放つ


ゾルトラークは斧より先にエルダーリッチを捉え、その後シュタルクの斧が後を追った。


空を虚しく彷徨う2人の攻撃


フリーレンは広範囲防御魔法を展開していた。


何かを悟ったフリーレン

「実態がない!」


ディアが少し嬉しそうに

「正解であり間違い、お前ら全滅するから攻撃はしないでやめておく」


エルダーリッチはその場にとどまったまま何も動いていない。


自分の分析が整いもしないうちにフリーレンが問いかけた

「幻影魔法?」


「違う、これは霊体だ、霊体のエルダーリッチを召喚しただけだ、強さの程度は先の魔王を簡単に倒せる程度で生前ほど力は無い……要は死者になりエルダーリッチに転生した、俺に呪いをかけた張本人だ。」


ザインが呆然としながら

「……元神」


「ザイン今でもそうなのかはわからんが1000年程前の僧侶は生涯独身だった」


「今でも僧侶は生涯独身と誓いを立てています」と改まった態度でザインが答えた。


改まったザインの態度に微笑みながら

「今でもやってるかわからんが人々が結婚すると時何を誓う?」とディアがザインに問う


「形式的に永遠の愛の誓いを建て添い遂げる事を教会では……」


「それだよ……魔法はイメージの世界その形式的なやつが不老不死で神譲りを受けた。人間が神譲りを受けたとは言え、本人が神の前で誓いを建ればどうなる?自分自身が神なのにフリーレン?」


ザインが小さな声で

「分かち合うことを……」


「わかるか?よしエルダーリッチは霊体だ俺の目の前で友の契りを建ててみろ」


一同黙る

「これが本当の呪いだ、友よ亜空に戻り俺の呼び掛けがあった時は応じてくれ、お前の呼び掛けにも俺は応じる……またな」


「あぁまたな、必要な呼び掛けだったのか?」との言葉を残しエルダーリッチは虚空に消えようとしている。

「まぁな、新たな時代が来るかもな、」とディアが寂しげに返した


「とまぁ……この様にだ、オレオールができる前の魂は亜空間を漂っている。フェルンでは無理だがフリーレン程度の魔力があれば何とか自我を保ち亜空間に開放される事が出来るかもしれないなぁ」


「前任の神は友達だった。少なくとも俺はそう思っていた。

人間は必要以上に増えると国同士で争い殺し合う、羊飼いだった俺は長男では無いので王国の戦争へ駆り出されていた。

いつも、戦争になると怖くて神に祈っていた。生きて手土産をもって故郷へ帰ると……」


ザインが割り込んだ

「と……村が焼け野原だった……よくある話だ」


「いや……違うぞ、小僧、驚く程に平和でのどかな草原が広がっていたよ羊を神に捧げる。しかし俺は次男だ」


「フリーレン様全く話が見えません。なんの為に召喚した者と戦わせたのでしょうか?」


「大丈夫だよフェルン私にも理解できないけど聞きなよ」



「まぁ人と話すのが久しぶりだから話をさせてくれ、で……戦争が起きる度に俺は駆り出された。

大切なのは長男で次男坊は穀潰しなんだよ、結局は口減らしの為に俺は戦争に行ってたんだ。」


「お前ら5万年前の人類に神を信仰する奴がいると思うか?

当時は精霊信仰的な文化だった…精霊なんてもんいないのに作物が育てば大地の精霊に感謝をしていた。自分が神譲りを受けわかったのだが精霊はいるのだがこちら側へは干渉しないし……」


フリーレン手を挙げ

「もう変なの召喚しない?」


「あぁ 少なくとも今はしない」


「鍋仕上げちゃいますね」


「亜空とか亜空間ってなに?」


シュタルクが斧を背中に戻すと同時に杖や聖典を虚空へ返した。


「それのことなんだよ……杖や聖典はどこへ行った?

何故自由に戻せる。お前らは何も分かってないな……亜空間の事も魔法のことも、まだ子供だ」


ディアは少し真顔になり

「杖や聖典の置いてある向こう側へ行ったことがあるか?」


ザインはその亜空から羊革の水筒とコップを取り出し。

「ディアは見た目は若いが呑める口か?」と聞いた。


「見た目は気にするな。口調も改まる必要は無いぞ、俺は全く飲めん、呑んでも浄化されて意味無い、酒飲を呑んで酔いたい時は酔ったイメージをする……寂しい生活だろ」



誰しも亜空間は当たり前の存在であり、重荷にもならず便利なバック程度にしか思ってなかった。


「まぁ俺は前衛職だからそんな便利な収納魔法は使えないけどな」


ディアの唐突な質問は「バックの中に入った事あるか?」程度の質問と認識して、誰もが亜空への疑問は思っていなかった為かディアの発言は無視された


そんな空気を感じてかディアの大きな掛け声で男たちが盛り上がる!

「場がシラケたな、みなで鍋をつっくぞ!」



フェルンが呆れ顔で

「男っていつまでも子供もだから」


ディアがまた話しを始めた。

「それでだな……その世界で神を信仰し祈っていたのは俺だけだったんだ。祈れば答えてくれた。心の支えだった。そこで俺は会いたいと願った。度重なる戦争などで神も俺も嫌気がさしていた。お互いは会い友となった。当時、そんなこんな死にたがっていた神は俺と友達になった。だから彼の死を理解し彼の神譲りを受けた。だが死ねなかったんだ理由はさっき話した通りだ」




ディアがフリーレンの隣に来た

「フェルンあの子供は魔法が使えるのか?先ほ程の放出系はは実にいい」


「あれは元々魔族の魔法でゾルトラークと呼ばれ、今の人間には一般攻撃魔法と呼ばれる」


「そか……演算にも時間が掛からないから速射性はいいが……魔力だけを使う、簡単に防げるだろ?」


「今の時代、人類の魔法は凡そ防げるし、ある程度の物理的な攻撃もね」


唐突にシュタルクが……

「この肉うめ〜!!」


ディアがシュタルクに微笑みながら鍋を突く

「あのなフリーレン、火を起こせるよな、でもその火は魔法で防御出来るよな?」


「もちろん」


「では、もっと高熱の火なら?」


「ドラゴンブレスでも防げるよ。魔力が続く限りね」


「なるほど どこで覚えた?」


「フランメが魔法の理論を構築して1000年近く人間達は研究に研究を重ねた」


「へぇ〜今じゃ人間の方が魔法の研究進んでんのか……」


フリーレンは得意げな顔をしながら

「人間もすごいでしょ、ねえ……なんで何代か前の神は人間を減らそうとしたの何となくわかったよ」


「そうか、俺はこの世界でバランスを取っている。人類には共通の敵が必要だ」


「そうだね魔族が居れば人同士の殺し合いは少なくなるね」


「俺は寝るフリーレン暖かくして寝ろよ」


「うんって早くない?!いくらなんでも見張りなしは危ないよ……魔物が来るかもしれない、さっきも言ったけど元々は魔王領だからね」

「気にするな、腹いっぱいになったら寝るのが一番だ、結界を張るよ」


夜空に大きな結界ドームがキラキラと広がる

フェルンがそれを見上げ

「ゼーリエ様の結界ににてます。」


フリーレンも見上げ

「確かに似ている……でも全く解析が出来ない。5万年前の言語で文字もない時代書かれているのは全て言霊で書いてあると言うかモヤモヤと流れているだけだ」


「魔法を使うのに深く考え過ぎだよ人類は……ところでお前らどこに向かってる」


「オレオールの帰りだよ、会いたい人がいてね」

「そうか会えたのか?」


「順を追って1000前から話してあげるよ」


「そうか」


「ところでどこへ帰るんだ?」


「帰るところなんてないかもしれないね」


と……ディアの寝息が聞こえてきた。





朝になり……


早く寝たせいかディアは早起きだ

「みんな起きろ」と声を掛けると寝坊助のフリーレンまで一斉に目覚めた。


「フリーレン様が早起きしてる!」


ディアがドン引き

「なに?起こしちゃいけなかった?」


「いえ……褒めてあげないと」


「ごめん……みんなを起こすイメージで目覚めの魔法使っちゃた」



「ディア様薪に火を起こしてくださいますか?私はフリーレン様の身支度がございます」


強制的に起こされ、朝寝坊常習犯より不服な2人がここにいた。

シュタルクは起床魔法をかけられる前から床で起きていたようで、雄弁だ。

「おはよう、フリーレンまで魔法で起こすのか……イメージできない(人間)人が正確には神だが……知らないからイメージできるんだな……俺も紅鏡龍と戦う前は勝てるイメージはなかったが、龍について知らなかったので一撃が当たった。結論から言うと勝てたんだけどね」


「その当時は魔物とも戦ったことも無いくせに……」


「うるせぇ」


「あの時、クソババアって言ったこと忘れてないから」


「ごめんって」


一同が野営の後、朝食作りをしながら片付け始める


ディアが片付けを手伝っていた。

「朝食を食べたら出発だ。昨日の鹿肉でベーコンを作ったから昼はサンドイッチにした方がいいぞ」


フリーレンが呆れながら

「そんな事まで魔法でできるんだ……」


「お?知りたいか?教えてやろうか?ベーコンを作る魔法はまだ魔導書を隠してないから、覚えるなら今のうちだぞ?」


「へ?どういう事?」


「フリーレン魔法は魔導書を読み解き習得してるだろ?あの魔導書書いたのは俺だ」


「もう1回言うけど……どういう事?」


「魔導書を書いて世界の中の迷宮に宝箱を置いて隠すんだ」


フリーレンの顔付きが汚物を見るような目でディアを見る

「なんで?」


ディアはニヤニヤしながら

「だって面白いだろ迷宮で魔物と戦って命懸けで拾った宝物が……かき氷出る魔法の魔導書だったりしたら」


フリーレンは……

「フッだからなんでそんな事してるんだよ」


ディアはため息をつきながら答えた

「くだらない魔法書は人類への仕返しだ……」


「なんで?」


「さぁ片付けて出発だぁ」


「なんで仕切ってんだよ……」


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