第12話

『のらねこ お岩 空をとぶ』


のらねこ お岩は立て札のとなりに立っている。


とうきょうの天空の木がうっすら見える高台の森、

その下に、のらねこ お岩は立て札を立てた。

その立て札には、へたな鉛筆ながら

のらねこ お岩がじぶんで描いたじぶんの絵

が描いてある。(自画像)


その、のらねこ お岩が立てた立て札をゴールに見立てて、

白いぼうしの〝お岩に〟が1週して戻ってきた。

のらねこ お岩は ゆかいそうに見ている。

「ずいぶん早いね。」


〝お岩に〟はゴールしても足を止めずに

その場でじたんだを踏みはじめる、もがいている。


のらねこ お岩はびっくりしている。

「なにをやってるの。」


〝お岩に〟は おもちゃに見える

ふしぎなものを見ながら小走りするふりを続ける。

「逆に321そして0とカウントする

キッチンタイマーを見るよ。

そして残り時間を意識するんだ。

速く走って、遅れを取ったぶん取り戻さないと。

のらねこ お岩のお母さんに行きあえない。」


〝お岩に〟は のらねこ お岩のお母さんを

探してると言ってくれた。お母さん。


「お母さん、わての大事なお母さん‥。

どうして わてを置いて ひとり

どこかに行っちゃうの。

わて、のらねこ お岩は いみ嫌われてるんだ、

あんな薄汚れた白い毛玉もう いらないって、

見捨てられたんだ。だから きっと‥」

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のらねこ お岩がいく のらねこ お岩 〝お岩に〟 @018

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