第1話「氷の洞窟」
3人は、放たれた災厄の魔物を追って、国境近い北部の洞窟にやってきた。恐ろしい魔物が生息しているという噂を聞きつけたためだ。
「まーったくもって寒い洞窟だねぇ、凍死死体でもないカナー」
死霊使いが、ぼやくと神官が眉をひそめた。
「不謹慎なことを言うな。そう言う下らんことばかり言ってるから風当たりが強いのだろうが。」死霊使いはそのすぐれた才能で魔法学校の中でも実力自体は評価されているのだが、職業もさることながらその言動によって、周りから厳しい目を向けられていた。
「この環境ならミイラもあり得るけど…確かに、通常より不自然なほど冷えてるし氷柱の数も多い。これは氷属性の魔物の可能性大だね」
魔法使いが呆れながら、2人に警戒呼びかけていると…
「……ゥオオオオオオオオオオオオオオン………」
「おい、いまの鳴き声は…」
「うっひょ~大物だァ!」
「……やめてよぉ、嘘でしょぉ!」
突如、洞窟の奥深くより猛烈な吹雪が彼らを襲った。そして、雄叫びとともに、氷属性魔物の上位に属する、氷竜(アイスドラゴン)が猛烈な勢いで迫ってきたのだった…!
「くっ、神よ!どうか我らにご加護を!」神官が先頭にたち、モーニングスターを頭上に構えている。
「ヘッヘッヘ〜」死霊使いは、腰を下ろし、居合の様に、物干し竿の様に長い杖を構え直し、目つきを変えた。
魔法使いも魔力を滾(たぎ)らせている。
「ゴゥルルルルルゥ……!!」
猛吹雪を周りに撒き散らしながら、唸りを上げている氷竜
「一撃でも喰らえばあとはない!私が仕掛ける!呪文で畳み掛けろ!」
「突っ込めやぁレイスぅ!」
「炎よ、吹き荒れよ!」
そして、溜まったブレスで膨らむ、氷竜の顎(あぎと)に向かって、神官が渾身の一撃を振りかぶった…!!
「だああああああああああああっッッッ!!!!!!」
…………その日、雪崩と呼応するように、岩壁の崩れる音が響き渡っていった。
のびのびTRPG個人卓リプレイ @akanehuso
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