若き王子が「神の料理人」に求めたもの

2章終わりまで拝読しました。

主人公は山奥で暮らすアメールと言う老人。彼は以前、強大な力を誇った王の「王冠」として、彼に仕えていたが、訳あってその元を離れ、別人として暮らしていたのでした。彼は王に見出された「神の料理人」であり、彼が料理した魔法の食材は、それを食べた特定の人物に「神の力」、つまり魔法を与えるのです。


一人ひっそりと暮らすアメールの元に、ある日「王子」を名乗るエティエンヌが訪ねてきます。王亡き後、戦乱が続く国を治めるために、彼もまた神の力を欲したのですが……

正体を隠しつつ神の料理人として若き王子に徐々に加担、そして惹かれていく主人公。王子の境遇を知り、徐々に彼の存在自体に惹かれていきます。折に触れて登場する主人公が料理を作るシーン、そしてそれを属するシーンの描写に重きが置かれていて、この物語の大きな鍵を握るのがタイトルの通り神の力を与える一皿。

今後王子がその料理を食べながら何を得、そして何を求めるのか。主人公と先王との間に何があって主人公が彼の元を離れたのか、そして、主人公は料理の腕をもって若き王子とどのように触れ合うのか。出てくる料理はもちろん、二人の関係性の行方も気になる秀作。引き込まれて一気に読めるので、今から読んでおくことを強くオススメ!

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