#おまけ 掌編「話題作」


「ソロキャンのつもりだったのに……アンタがついてくるからふたりキャンプになっちゃったじゃない」

「テントは別ですし、各々でするキャンプだからソロキャンでいいのではないですか……?」


 焚火を挟んで向かい合う。

 確かに個別できているソロキャンとも言えるが、知り合いがこうも近くにいればふたりキャンプと言った方が適しているだろう。


 予定が狂った。

 のんびり休暇を楽しみたかったのに、まさか偶然、後輩男子くんと出くわすとは。


「先輩、良かったら僕が色々と料理を作りましょうか……って、先輩?」


 女上司が後輩のテントを掴んだ。

 しっかりと固定されていなかったテントはあっさりと崩れてしまい、「ぎゃあちょっと!!」と文句を言う後輩を横目で見ながら、上司はテントを放り投げる。


 そして、後輩の尻を叩くように、焚き付けた。焚火以上に。


「ほれ、向こうにいきなさい。あんたはあっちのテントよ」

「は、はいっ、よろこんで!!」


 もちろん、変な関係ではない。

 上司と後輩というだけだ。ただし……上司はSで後輩がMなだけだったが。



 …了

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吾輩の口説き方 渡貫とゐち @josho

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