攻略対象との恋愛なんてしてないのに、世界救った後なぜかハッピーエンドルートだった

仲仁へび(旧:離久)

攻略対象との恋愛なんてしてないのに、世界救った後なぜかハッピーエンドルートだった



「とある貴族令嬢の主人公」



 きらきらでふりふり。


 貴族令嬢の生活は豪華。


 前世では極貧生活を送っていたから、生まれ変われて良かったわ。





 私の名前は、グレイシア。


 乙女ゲームの貴族令嬢に転生したから優雅に生活している最中。


 でも、前世ではほんと散々だったわ。

 

 両親がギャンブル好きでね、生活費を全て賭け事に使っちゃうから。


 米粒一つすら食べられない日があったんだもの。


 それと比べたら、今の人生は本当に天国にいるようなもの。


 この生活を、絶対になくしたくないわね。





 でも、のんびりとはしていられない。


 世界の危機が迫っているもの。


 私は乙女ゲームの主人公に転生したのだから。


 世界を救わきゃいけないのよ。


 幼少期から、前作知識を活かして、修行でレベルアップ!


 とかできれば良かったんだけど、この世界ではある一定の歳になってからじゃないとできないのよね。


 ゲームシステムがこの世界でも生きてるから、レベルアップできるものの、過度な修行は成長に悪いって考えられているから。


 だから私は貴族令嬢らしく、のんびり過ごしているってわけ。


 でも、ちゃんとできる事はしているわよ。


 雑学で、色々な知識を頭に入れたり、効率的な修行の考案をしたりね。





 

 そんなだから、攻略対象とかにかまってる暇はないのよね。


 一応乙女ゲームの世界だから、攻略しようと思えばできるんでしょうけど。


 私はこの第二の人生を終わらせたくないの。


 だから、ラスボスである邪神を倒すために、全力を尽くすつもりよ。


 




 そういうわけで、原作開始の時期になった私は、レベリング開始。


 邪神を倒すために、トレーニングを積んでいくわ。


 攻略対象が時々デートにさそってきたりしても無視!


 プレゼントを贈って来ても、過度に喜ばない!


 イベントが起きても最低限の対応ですませたのよ!


 その分、修行に時間をついやせたから、レベルはどんどん上がっていったわ。


 そのおかげで、原作終盤には、なんとかレベルが最大数値に。


 ラスボス戦も、ボス特有の形態変化とか連続攻撃を受けて、ちょっと苦戦したものの、きちんと勝利できたの。


 



 これで、本の優雅な生活に戻れるわね!


 これからは、貴族令嬢として、豊かな生活を存分におくっていくんだから。


 なんて思っていたら、なぜか攻略対象に告白されてしまったわ!


 え? これってハッピーエンドルート?


 どうして、私は修行ばっかりしていたのに。


 うーん。


 色々と不可解な点はあるけど、蔑ろにはできないわね。


 とりあえず。角が立たないように全員対応しなくちゃ。






「とある攻略対象の騎士」


 俺はとある女性に恋をしている。


 その女性は世界を救う為にまっすぐで、ひたむきな素晴らしい女性だ。


 外見に惹かれてちょっかいを掛けていた頃の俺が恥ずかしい。


 外出先で偶然出会った時、彼女にデートを断られてしまった俺が、少しむっとしてしまったが。


 汚れたドレスも構わず、市民たちを守る姿に心を射止められたんだ。


 彼女は素晴らしい女性だ。


 本当に大切なものが何か分かっている。


 人生を共にするなら、彼女しかいないだろう。





「とある攻略対象の魔法使い」


 僕はとある女性を好いている。


 彼女は世間から浮いている女性で、貴族令嬢なのに社交界に出るよりも、修行を行うような人だった。


 どうしてそんな事をするのだろうと、当時は思っていた。


 名誉のために力を極めていた僕は、自分と同じように名誉が欲しくて頑張っているのかとも思った。


 だが、違った。


 彼女はもっと大きなもののために戦っていたのだ。


 周りからバカにされ、一目を気にしながら、精一杯虚勢を張っていた自分との器の違いを見せつけられた。


 僕は彼女を尊敬するようになった。


 そんな尊敬する彼女と、今後もずっと一緒にいたい。


 告白するのは勇気があるが、馬鹿にされようが、誰かに指をさされようが、かまわない。


 この言葉を口にしようと思っている。

  





「とある攻略対象の治癒士」


 私は、ある一人の女性を愛している。


 その女性は心の中に、他の人間にはない輝きを持っていた。


 自分の為に戦っているというが、彼女は常に他社に対して優しかった。


 傷ついている人間を助けるために戦い、泣いている誰かにハンカチを差し出す。


 邪神を倒す人間なんていくらでもいるというのに、未来の知識があるという理由で、彼女は戦う力を手にするのだ。


 その知識で才能ある物を育てた方が、安全な生活をおくれただろうに。


 私は、その心優しさに惹かれたのだ。


 きっと私は彼女の眼中になど入っていないだろうが、この思いを伝えようと思っている。






「とある貴族令嬢の主人公


 ーーただいま告白中ーー


「俺はお前が好きだ」

「僕はあなたとこれからも一緒にいたい」

「私の伴侶になってもらえないだろうか」


ーーただいま混乱中ーー


(いったいどうしてこうなったのよ!)



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