アイツを探して
須戸
アイツを探して
ねえ、約束したじゃん。来年また会おうって。
なのに、なんでいないんだよ。
アタシはねえ、アンタに会う日を、ずっと楽しみにしてたんだよ。
その日のための新しい服わざわざ買って。
アンタと離れ離れになってからは、毎日がしんどかった。嫌なこと、いっぱいあった。でも、いっぱい我慢した。全部、アンタとまた会うためだけに。
毛布被っても凍える冬も。花粉で目や鼻がグチャグチャになる春も。熱中症で倒れそうになる夏も。
やっと会える予定だったのにもうすぐ十二月だよ。いくらなんでも遅すぎじゃない?
それにさ、アンタを待ってたの、アタシだけじゃないんだよ。会いたいって言ってた人、たくさんいるよ。
アタシの友達だってそう。だけどさ、いつまで経ってもアンタが来ないもんだからさ、
「連絡もなしにドタキャンするって最低だね」
どう思う? こんな酷い言葉吐くアタシの友達とアンタ、どっちが最低?
そもそもさ、アンタ人気者のくせに、誰にも連絡先教えないんだから困るよ。アタシも知らないし。こっちから探しに行こうとしても、どうすれば良いかわからないじゃん。
ほんっと、何処行っちまったんだよ、秋。
アイツを探して 須戸 @su-do
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます