第4話
起きてみるとまだ夜だったが月が昨日よりも欠けていると思っているがどうせ気のせいだろう
病院から出て広場方面へと向かい帰ってきているかの確認をしてみるがやはり居ないようだ。
一度奴らが向かった方面に行くべきだと思うのだ。理由としては何か奴らにとって有用な物や、別の集団と合流しているかそれともあの狼を殲滅しに行っているとかの情報は欲しい
なんせ、俺はここの地理を何一つ知らない為この街から出るにも情報がなきゃ出るに出られないからだ
左方面へ歩き始めるとだんだんと月の光が遮られていき周りが暗くなっていく。
街灯は周りをぼんやりと写すだけで正確な場所や曲がり角を写さず暗い道をひたすらに歩き続けると月の光が当たる場所へと出てきた
そこは周りと比べて少し開けており目の前には門があったがそれは開いておりここからならば外に出られるようだ。
門の付近には沢山の足跡があり、それは外へと向かっている為奴らは外へ出ているから未だに帰ってきていないようだった。
少し外の様子が気になって出ると周りは整備された道であったが道の両脇は森が広がっており奥には大きい木が見える
道を歩いていけば容易に奥の木に辿り着けそうだと感じれた。
さて、ここからはどうするか…一度あの木を見に行くかそれとも街中を隈なく探索するかだが正直言ってこれ以上の情報は無いように思えるが実際はどうなのだろうか?
この街には正常な人間は残っていないように思えるし、街中は膨張病の人間と狼がいるからだ
今となっては膨張病の人間は居なくなっているが狼が未だに徘徊している可能性もあるため悩んでいるのだがここは悩んでいるよりは行動をした方が得だと思い奥の木へと足を進める。
どんどん進んでいくと周りの木々の隙間から赤い目がこちらを見ているようで遠くから遠吠えが聞こえてくるし、道は整備はされているが段々と荒れていくのが目に見えてわかる
大きい木の全体が見え始めた頃視界が一気に開けるとそこには沢山の肉塊が落ちており部品のどれも人間を思わせるようなパーツがあり、ここで一体何があったと言うのだろうか?
とりあえず警戒しながら周りを探索すると崩れ落ちている小屋のような物や、かつては家だった物であろう場所が沢山あった。
探索しているうちにここは廃村だと分かったが何故こんなにも肉塊が多く落ちているのだろうか、それも沢山の…これらを一気に倒す存在がいるとなれば今ここにいるのは危険だと思う
そんなことを考えていたら村の中心であろう場所に着いた、そこには大きいが朽ちた大樹がありその下には白い衣服が所々に赤くなっている人狼が腰を掛けていた。
俺がそれを見つけると人狼はその場から立ち上がりこちらへと武器を向ける
すぐさま戦闘体制へと変えるが向こうは既に走り出しておりこちらへと飛び掛かり武器を振り下ろす前ぐらいになっていた
斧を相手の武器に当てて無理やり軌道を逸らしカウンターパンチを入れるが素手で殴った感触はとても硬くダメージは入っていないように感じた。
一度その場を離れて人狼の動きを見るとこちらを睨みつけており未だに動こうとはしない
『お前は、未だに正常なのか?』
人狼は口を開きそう話してきたことに驚きを覚える
『答えなくとわかるお前はこれから旅をするだろう、そしてこの地について知り己が罪を知る。そして朽ちて死ぬ』
何を言っているんだこの人狼は
『その果てには病を知り、最後は終わりを見つける、そして魔となり永遠に彷徨う』
死んだ後に病を知る?その後は死んでも動くってことか?
『月を恨め、月を壊せ、月を許すな』
そう言って人狼はこちらへと再び襲いかかってくる
『ここを越えなければ終わりだ、また夜が始まる』
人狼は襲い掛かりながらも話している
クッソがこっちは話を聞く暇もないってのに剣を振って来やがる
人狼が振るう剣は重く鋭くそして的確だった、だから斧では戦い辛くこちらからは攻撃しにくいのだ
『不死を見せつけろ、奴らはまだ脅威を知らない奴らは未だに死ぬ事を許されない奴らは終わりを知らない』
奴らってなんだよと思いながら攻撃を避けて斧を振るうが上手く防御率される
『不死を知らない?不死を分かっていない?何故だ、何故知らない』
狼が困惑しているようだが生憎と不死に関しては本当に知らないし俺自身がなんでここにいるかも知らないんだよ
『ならば一度死を、そして理解を』
狼は一気に踏み込んで俺の斧を軽々と避けその剣を俺に突き刺した
痛い、痛い、痛い…口から血が、胸から血が
人狼は剣を引き抜きこちらを見ている
『理解しろ、己が何者か、己が使命を、己が約束を』
あぁ、視界が狭くなる…今は月の光がよく見える
ドクンと何かが跳ね上がる…心臓ではない物が跳ね上がり体を動かす止まらなかった血は止まり、暗くなっていた視界は明るくなり、色彩は元に戻る
『あぁ、帰ってきた、不死者が、英雄が』
人狼がそんなことを呟きこちらへと剣を向けて言い放つ
『今代の英雄よ、いつの日かその手で月を殺せ。しかし、今は私を殺して見せろ』
俺は立ち上がりすぐさま戦闘を開始する
人狼の攻撃を防御せずに体で受けてその剣を動けなくする代わりに俺の斧を当てる
斧の攻撃は高く人狼に傷をつけていく。
段々とわかる戦い方が不死の意味を、不死者としての戦い方を
そして、狼の剣を受け倒れようが立ち上がり再び攻撃をする
幾度となく行われる死亡と復活その度に人狼は傷を付けて出血をしている
『遂にきた、英雄の再来を』
その言葉が最後だったのだろうか…人狼は倒れ塵へと変わって行った
そこに残っていたものは赤い光石と彼が着ていた白い服と直剣の3つだけだった。
いつも通り石を拾うと膨大な情報が体に与えられ、彼の人生を見た、そこにはこの地の情報やまだ見たことのない病や場所が沢山あった。
中でも鐘をよく慣らしており各地へと赴いている理由がそれだったからだ
彼の服を着て見ると意外とサイズがあっており、着やすかった。そして直剣は腰に差し斧は腰裏に付けすぐ取り出せるようにした
彼が持っていた不死の知識はもちろん多くはなかったがそれでも俺にとってはありがたかった。
世界が病に覆われる時不死者が現れ病の元凶を倒すとあった。元凶は様々なもので時には物であったり、時には人らしいが今回は彼はあってなく情報すらなかったらしいが多分人には見えないと言うことらしい?
実際生きている時の記憶しかないようなのでよくわからないが彼の人生はとても有意義な物であったと俺は思う。
かの巡礼者にお礼を、そしてやすぎを…
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月狼の巡礼者オズワルド
この地を巡り、この地の情報をへてここへと帰ってきたが街にはもう正気な者などおらず自身も患っていた死狼病も進んでいると分かっており最後は生まれた場所での死を選んだのち最後の意味を知った。
その全生は受け継がれた。しかして彼が見た1番は受け継がれなかった
月と病と不死者 丹木芥舟 @Fox_cat
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