雪の日

朱田空央

雪の日

 時刻は21時を回る頃。人はまばら、街灯がほの明るい夜。雪が降っていた。降り積もり、白銀の世界を彩っている。一歩一歩、歩む毎に轍が出来る。

「寒いなぁ……」

 息が白い。コートを着込んでいるのに、それがあまり意味を為さない。雪と街並みのコントラストは良いのに、寒さだけはどうにも堪える。

 あともう少しで家に着くんだ。仕事のことは、一旦忘れよう。その先に喜ぶ人がいることを噛み締めて。

 家に帰れば妻と子供が待っていた。

「ただいま!」

「おかえりなさい!」

 雪の寒さから解放される。寒さの分だけ、家庭のあたたかさを感じる。

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雪の日 朱田空央 @sorao_akada

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