エピローグ
アライグマは2つの墓を前に立ち尽くしていた。復讐を遂げ、晴々とした気分になるはずが、心中では全く別のことを考えていた。そして、心の中にぽっかりと空いてしまった穴を感じて、自分はきっと親友を殺してしまったのだと確信した。アライグマは泣いた。涙が枯れても泣き続けた。
しばらくしてアライグマは、心の穴を埋めるために人助けを始めた。最初は小さなボランティアから始めた。炊き出しを手伝い、孤児に勉強を教え、海岸のゴミ拾い、募金活動。最初は全然うまくいかなった。悪い人間に騙されることもあった。それでも諦めずに人助けを続けたら、他のアライグマたちもそれに習い、人助けを始めた。小さな波は次第に合流していき、大きな波となり社会全体に多大な影響を与え、そうしてアライグマが始めた小さな人助けは、やがて巨大なNPO法人となった。その頃にはアライグマたちが殺した人間の数より、はるかに多くの人間の命を救った。この貢献によりアライグマたちに生存権が与えられ、人間社会にアライグマたちが歓迎される運びとなった。永年、憎しみ合っていた両者が手を取り合い共存する理想郷が完成したのだ。それでもアライグマの心に空いた穴が埋まることは、生涯なかった。
アライグマの要望で、彼の墓は親友たちのすぐそばに建てられることとなった。彼らの死後もこの出来事は語り継がれ、いまだにこの国では、戦争は起こっていない。時に人々が衝突し、争いが起きそうになると決まって、誰かが彼らの偉業を語るのだ。そして、安らかに眠る彼らの邪魔をしてはいけないと、諌めるのであった。
-完-
伝説のラクーンハンター 四季オリオーリ・オーリオ @Seasonally
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