第5話 朝チュン


 そして――――




 設定通りのアラームが鳴り、目を覚ました長女が寝ぼけたまま廊下に出ると、


「あら」


 なぜか裸の天也。

 顔の形が変わっている陸と、そんな彼に覆い被さるように寝ている美里がいた。


 仲が良い……と言っていいのかは微妙なところだった。

 とにかく、風邪を引きそうね、と心配していると、階段を下りてきた達海とばったり会った。


「おはよう、姉貴。――うお。なんだこりゃ」

「おはよ、達海。……それがねえ、私も分からないの。今起きたばかりだし……」


「ふうん。まあ放っておけばいいだろ、どうせいつものじゃれ合いだろうしな」

「そうねえ、どうせいつもの、よねえ」


 いつもの。

 となれば、仲が良い、ということで着地するのだろう。


「姉貴、手伝うことあるか?」

「美里ちゃんがああだし……じゃあ家事を少し手伝ってくれる?」

「お安い御用だ」


 こうして、田頭家はいつも通りの朝を迎えた。


 突然目覚めた異能があろうとなかろうと、この光景は通常運転と大して変わらない。





 …(読切「因果応報ラブコメディ!」)了

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指先が電動マッサージ機になる異能が目覚めたら。 渡貫とゐち @josho

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