第34話 キアラの答え
最終日の演劇が終わり、俺は応接室に入る。
すると、ソファーには既にキアラさんが座っていた。
「お待たせしました」
「いんや、そんな待ってなんかないさ」
俺は、キアラさんに頭を下げてから座り、本題を切り出した。
「それでは、聞かせて貰えますか?」
「あぁ…言わせてもらう」
俺の言葉にキアラさんが頷くと真剣な表情のまま話を続ける。
「今回は料理、音楽、演劇の三種類を見させて貰った。
まずは、結論から言わせてもらうが、是非ともミロクさんと協力させて欲しい。
あんたの作り出すものを私が世界中に広めてやる」
「本当か!?感謝する」
俺は、キアラの答えに感謝を伝える。
「まずは、料理だがな、あれはこの世界に革命を起こすぞ。
料理の中でも1番の衝撃が調理だ。
私達は何故か焼くだけで満足していたが、調味料や、焼く以外の調理法で食べる事も出来た事に驚きを感じている。
故に、調理に関しては私達の視野の狭さが知れたね」
キアラさんは、料理への考えを俺に教えてくれた。
「歌と演劇も心を動かされた。
あれも絶対売れるだろうし、誰かにとっての薬にもなり得ると私は見る。
歌と演劇は誰かに巣食う病気を打ち払える…そんな風に思えた」
「そうか…ありがとう」
俺はキアラの評価に感謝を伝える。
「そんじゃあ明日には私も国に帰ることになってるから、私に持っていって欲しいものはあるかい?」
俺はキアラさんの言葉に少し考える。
ある程度決めた俺は、商品を俺の後ろに立つ黄泉に取ってきて貰い、キアラさんの前に置く。
「今回一日目に出させて貰った料理の全てと、娯楽品として、将棋、オセロ、チェスの3つを持って行って貰いたい」
俺の言葉に頷き笑顔を浮かべる。
「そんじゃあ、また進展があったら来るさ。
今日の所は休ませてもらうよ」
キアラさんの言葉に頷き、俺も寝室に向かい眠る事にした。
数日後
???視点
「戻ったか」
玉座の間に入ると、王からそのような言葉を賜る。
「はっ!今戻りました」
「よし、結果を伝えろ」
私は王に跪き、見てきた事を話し始めた。
「料理に関してはどれも美味しいもので、正直料理だけでも世界を支配できるのでは…と思ってしまう程我々にとって革新的な物でした」
私の言葉に無言を貫く王を見て、話を続けろと言っていると理解し、次は2日目の事を話し始める。
「歌と言うものも革新的でした。
歌う者の想いを、我々聞き手側の心にダイレクトにぶつけて来ます。
なので、ついついその想いに共感してしまう…ある種の洗脳に似ているとも思いました。
洗脳と比べると危険性がないことが救いなのですが」
再び無言を貫く王を見て、最終日の事を話し始める。
「最終日の演劇というものにも可能性を見ました。
全ての国に演劇場や歌もですがステージを作りさえすれば、どの国所属の演劇団、歌唱団が他国へと行った際、それらを応援する者がその国に向かい経済や流通を高める鍵となると思いました」
私は話すことが無くなった為、王の反応を見ることにした。
「なるほど…確かに名も無き街が持っていいものでは無いな。
"アキナ"、帰ってきて早々悪いがこの招待状を、そのミロクという名の竜に渡してくれ。
…俺直々に、奴を見極めるとしよう」
「承知しました」
私は王の言葉に頷くと、あることを思い出す。
「そうでした、王に秘境祭で得た物を持ってきたのですが、要りますか?」
「あぁ、4人分くれ。家族で食わせて貰う」
私は、王に4人分の寿司と親子丼を渡し、オセロという娯楽品を渡してから、玉座の間を退出した。
翌日聞いた事だが、王を含めたご家族は料理には涙が出るほど感激したようで、オセロを始めると、気づいたら朝になっていたと私に不満なのか感想なのか分からないが、朝イチから家に突撃され4時間ほど、オセロについて質問攻めを受けたのだった。
……オセロ怖い。
次の更新予定
転生した竜は、異世界で何を成す? 双葉 ユキ @JIN-KOKURAI
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