物語の構成において、『上げて下げてまた上げる』は定石の一つだと思いますが、この物語におけるそれは、まさしく希望と絶望のサンドイッチです。
そこに、子供の成長、人の心のどうしようもない弱さと強さ、家族愛や同胞愛、異なる正義と正義のぶつかり合い、怒りと憎しみの連鎖とそれを超克しようとする意志、根源的に異なる存在との共存の難しさ、そして、超ド級シリアス状況の中でも如何なく発揮される(良い意味での)バカップル模様(褒めています)といった、実に様々なスパイスが振りかけられているので、ジェットコースターばりに一転二転する感情に時には胃もたれを起こしつつも、ついつい食べ続けてしまいます。
SF寄りの細密な世界観とぎっしり詰まった知的な文章も、お好きな方にはきっと刺さることでしょう。ご興味を持たれた方は、是非。