NTR小説ピックアップ! 後半戦

 チャオです! みなさんNTRしてますか? 私はガッツリ行為を見てしまって「そういう癖」に目覚めるタイプのNTRが好きです。やはり時代はクローゼット。物もしまえるし。


 そうこうしているうちにカクヨムコンが始まってしまい、わたわたしながら慌ててNTR小説を読んで脳みそを焼かれてきました。これで落ち着いて今年一年を締めくくる準備が出来ました。それでは後半戦3つピックアップです。


【第二回NTR小説フェスタ】

https://kakuyomu.jp/user_events/16818093086967966616

【第二回NTR小説フェスタ講評記事】

https://note.com/useless_time/n/n4acf9021cf6d


 講評記事では作品の講評に加えて「NTRとは何か」について深く論考されているので参加していなくても一読の価値ありです! むしろ参加していなくてもNTRに興味がある人は読むべきですね!!


 なお自分が読んだ作品のひとこと感想は↓で呟いているので見ていってくれるとありがたいな!!


https://x.com/ANONI_koron/status/1856978210380202372


 それではよろしくお願いします。


【彼女を誰も奪えない/水辺ほとりさん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093087206088074


 彼女のことは彼女が決め続ける。


 個人的にめっちゃ好きです。抑圧された女性が愛のあるセックスを契機に意思を持って行動するというお話なのですが、それまでの整った生活と対比されるような画家の乱雑な生活に惹かれていくところがいいですね。個人的に女は定期的に構わないと愛想をつかすよ、と思っています。

 これを読んで『あさりちゃん』に登場する究極の選択の話を思い出しました。「金持ちの不細工と美形の貧乏、結婚するならどっち」という問いにあさりちゃんが真剣に悩む、という話です。「結婚は見た目や資産ではなく愛があるかどうか」と諭されたあさりに、姉のタタミが「金持ちと結婚して美形と不倫」「金持ちと結婚して完全犯罪でぶっ殺して美形と再婚」と言うギャグが強く印象に残っています。その後真面目に考えたタタミの結論とお話全体のしょうもないオチも含めて、この手の「究極の選択」というのが一体何なのかという話になっています。

 彼女は夫との生活という「選択をしない」生活から画家の腕の中に飛び込むという「選択をした」ということで、選択をし続ける人生を送るようになったのだろうと思います。選ぶという行為は、NTRの底に眠る選ばれなかったものの怨嗟の対局であると思います。素敵な作品でした!



【ナイトビーチ・グラップル/南沼さん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093087480508201


 そして、死んだ。


 途中まで「おかしいな、俺はNTR小説フェスタの看板をくぐってこの作品にたどり着いたはずなのだが」と不安がMAXになるほどの清々しい青春モノでした。この「俺はNTR小説を読んでいるはずだ」という前提の不協和音があるから、前半の青春パートを読んでいてもジェットコースターで登っているような不穏な緊張感があります。ハラハラしてしまい、肝心の内容に集中できません。

 とにかく、読者の情緒を上げて下げるのがすごいです。努力して彼女と報われたい! と主人公が願えば願うほど読者の心では「ああでもこいつはNTRれる」「この予兆はNTR一直線だ」「ああ仕方ない」「でもちょっとだけ抗ってほしい」とまた違った心の揺れが発生します。彼女をめぐっての熱い対決。そして岡田さんがギブアップした瞬間、一瞬これはNTR小説なのだということを忘れて主人公が報われることを応援してしまったのですから……。

 いつか来る、来るぞ……と読者が構えて、ラストで急降下。無事みんなの情緒死亡。NTRのジェットコースターです。最高です。これが初代NTRクイーンの力……!


【眼差しの向こう側 /楠木次郎さん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093086548242836


 不器用な僕だから、受け入れられるほうがよかった。


 第一話の時点でもう既にニヤニヤしちゃうタイプのNTR小説なのですが、2話3話と進むにつれて話がボーンと遠くへ転がっていって途中で楽しくなってしまいました。個人的に冒頭の「美術に興味ないのにルドン展デート」という「面白がって初デートを目黒の寄生虫博物館にする」みたいな事故デートにツボってしまい、もう絶対このカップルおしまいだろうと思ってしまいました。

 そこからキュクロープスの神話を元に、覗き穴というギミックやキュクロープスの逸話の元とされるゾウの頭部の骨、そしてラストまで息もつかせぬほど情愛のもつれがこれでもかと滲み出ていました。最初に神話をどんと出していて、ラストの情景に繋がったのが本当に良かったです。改めてルドンの絵画のほうも見て、優しげだけれど怯えのある一つ目巨人とそれに気づいているのか気づいていないのか堂々と寝そべるガラテイアと作品がマッチして、いい余韻を残しました。大変面白かったです!


 以上、前半戦と合わせて6作品のピックアップでした。


 今回キングの野村絽麻子さんの「物想うイチジク」も果実を搾ったような読み味で面白かったです。絽麻子さんの文章からはすごく「生活」を感じるといつも思います。最後で搾りカスが引っかかるようなところにリアルさというのを強く感じました。


【物想うイチジク/野村絽麻子さん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093087213365366


 おまけに、ここまでNTR小説を読んできて気が付いたことを書きます。文章の巧拙や構成の組み方など様々な評価軸はありますが、NTR小説において一番大事なのは「ケツ」なのではないかという仮説を立てました。


 前回キングとクイーンの作品は、とにかく「結末」が強烈です。最後にひとこと痺れるような言葉や激しく情緒を揺さぶられるような展開がひとつあると、いつまでも心にこびりつくような作品になるのだと思いました。特にNTR小説というのは、要は「恋人が他の誰かとエッチしている」という最悪なシチュエーションを楽しむという割合悪趣味なところがあります。


 最悪を楽しむ、というとホラーや怪談に通じるものがあります。怪談もオチが重要で、その過程でおどろおどろしく生々しい語りがあったとしてもやっぱり怖いのはオチがドンと重い作品だったりします。例えて言うなら、リゾートバイトとリアルはどっちも怖くて有名な洒落怖なのですが、個人的にはリアルの最後の全く救いにならない展開がやけに心に残っています。


 怪談でも「意味が分かると怖い話」のように最後に意味がわかったらゾっとするようなものが流行っていますね。そういうぞわぞわする刺激を、人は実はNTRに求めているのかなーと思いました。そうすると、NTRざまぁは寺生まれのTさん確定演出か何かなのかなあ……?


 とにもかくにも、ようやく自分のNTR小説フェスタが終わりました。でもNTRはいつだってそこにあります。嫉妬、欲望、所有するされる。そういう感情をぎゅっと搾った小説はいいですね。これからも搾っていきたいです。


 最後に主催のりしゅうさん、お疲れ様でした。講評もテーマソングも楽しませていただきました。テーマソングのある小説の企画なんて聞いたことない! と思いました。極光、たまに聞きたくなって聞いてます。素敵です。


 長くなってしまうのでこの辺りで。

 それではカクヨムコン10、頑張っていきましょう。

(できれば応援してくれると嬉しいな……!!!)

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