展示会ってグッズショップが本番みたいなとこあるよね

白川津 中々

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とある漫画家の原画展に来て展示を観て回っていたらもうこれはハッピーがリミットブレイクで「あぁここね」などとデカデカ切り取られた名シーンを前に呟いたりして白い目で見られながらも知らないねという風に不審者ムーブを繰り返し行っていたところいつの間にか出口まで進んでいてなんだもう終わりか満足したけど物足りないなぁと腹七分目な気分で到着したのがそう、グッズショップなのである。


ま、こういうイベントってショップが本番みたいなとこあるからな。


安くないチケットに加えまだ金を使わせようというのか。いや違う。金を使わせるためのプロモーションがこの種のイベントなのだ。客は「せっかくだから」と言って結局グッズを買う。そしてそれは俺も例外ではない。



ランダムアクキー。ま、五点ほど。いや十買っておこう……



アクキー十点で五千八百円。一人焼肉と同レベルの額。結構な出費だ。

しかし、勿論これだけでは終わらない。



名シーン色紙。ま、三枚ほど買うか……


おやおや、一コマしか出てないのにネットでミームになったインテリアをグッズ化とか完全に便乗じゃん。ま、一応買っとこ……


缶バッチか。ま、推しだけ買うか。しかしこいつ買うならあいつもいるな……


Tシャツ。プリントのクオリティが高い。ま、買うか……


菓子類ねぇ。ま、社内土産にいくつか……


マグカップはさすがに……いや、寝かしとけばプレミアつくかもしれん。ま、一点だけ……




こうして山盛りになったカゴをレジへ持って行くと合計三万八千円。カード払い。五千円以上お買い上げの方に配布されるスペシャルグッズ七つを貰い、ショッパー引っ提げて退館。どう考えても使いすぎだが、カード残高が減ると、不思議と腹も減る。


ついでに、焼肉でも食べて帰るか……


高い金額を払うと財布の紐が緩むもので、絶対に後悔すると知りつつも、俺は焼肉屋でビールと肉を煽る算段を立てるのだった。


二十八歳男一人。

貯金も結婚も、できそうにない。

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