チューチューうっさいネズミ達のお話~ぢぢぢ!!ぢゅぢゅぢゅ!ヂヂヂ!痔痔痔!~《甲》

豆腐数

冬は椿のミツ吸ってるby末っ子ネズミ

 祭り囃子と屋台の呼び声飛び交う神社境内、暗がりから浮かれた人間をチューい深く見ている小さな視線が、何匹分もありました。


「いいかお前達、ネズミを嫌って追い払いにかかる店の人間にはチューいしなくてはいけないが、こういう人間の浮かれたお祭りごとでは、美味いもののおこぼれにあずかりやすい。父さんが飯確保舞台のチュー心になって行くから、家のチュー房を守る母ちゃんのお土産を必ず確保するのだ」

「チュー実な家来になったつもりで行くよ、父ちゃん」

「チュー犬のようについて行くよ、ネズミだけど」

「チューチュー」


 最後の末っ子ネズミは、赤いサルビアの蜜を吸っててまともな返事が出来ず、両側から兄ちゃんネズミ達にほっぺを引っ張られ、「ぢぢぢ!!」とリアルに鳴きました。そのうっさい声を聞きつけて、三歳くらいの、真っ青なアサガオの散った浴衣の女の子が、ポテポテやって来ました。


「ネズミさんだぁ! これ飽きちゃったからあげる!」


 半分ほど残ったイカ焼きを櫛から取ってポイッと放り投げ、女の子はポテポテ去って行きました。


「もぐもぐ、このような幸運はなかなかある事ではないので、チュー意深く噛みしめよう」

「チュー実な家来のように噛みしめるよ父ちゃん」

「チュー犬のように人間に感謝するよ」

「チューチュー」


 やっぱり最後の一匹は、イカ焼きを肴にアカツメクサをチューチュー吸ってて返事が出来なかったので、両側から兄ちゃんネズミ達にヒゲを引っ張られ、「ぢゅぢゅぢゅ!」とリアルに鳴きました。


 その後も首尾よく、人間の落っことして諦めたリンゴ飴や、屋台から出た焼きそばの野菜クズなどを首尾よく手に入れ、お家で待つ母ちゃんネズミを喜ばせました。


 時は過ぎ、秋。冬が近づき木枯らしが吹く、神社境内。


「祭りの後は寂しいものだ。チュー意深く探しても、痕跡たべカス一つ見当たらない」

「神社の境内だけでも地チュー(地球)の広さを感じるよ父ちゃん」

「シチューが恋しい季節だよ父ちゃん」

「チューチュー」


 木枯らし噴いても末っ子ネズミは花の蜜を吸おうと必死で、よく見るとそれは花びらから根っこまで全部毒のヒガンバナだったので、両耳を左右から兄ちゃんネズミに引っ張られ、「ヂヂヂ!」と鳴きました。


「火チューの栗どころじゃないぞ。ただの自殺行為だぞ」

「シチューどころか地チューに埋葬される事になるぞ」

「つい夢チューになりまして」


 喋れたのかコイツ。


「まあまあ子ネズミ達よ。そのくらいにしておいて、今日の得物はこいつらだ」


 父ちゃんネズミは神社の林の根元を指さし、ドングリの実を指さしました。


「たくさん持って帰って、チュー厨で待つ母ちゃんにドングリパンを作ってもらおう」

「火チューに入れてコンガリパン」

「シチューに添えてモグモグパン」

「チューチュー」


 末っ子ネズミはその辺に落ちてた柿の実の汁を吸うのに夢中になって仕事をほっぽり出していたので、兄ちゃんネズミ二匹に綱引きのように長いしっぽを引っ張られ、「痔痔痔!」と尻が痛そうに鳴くのでした。


 チューチューうっさいネズミ達のお話は、コレでおしまいです。

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