グッド・バイ小学生、ハロー中学生

要想ケルヲ

グッド・バイ小学生、ハロー中学生

※[この作品は、フィクションです、実在する人物、団体などとは、一切関係ありません、そして様々な発言も特定の人物、団体についての言及、中傷ではありません、それではご理解を上にお愉しみ下さい]


※[本作品では、気分を害する様な場面があります、それを理解した上で、お読み下さい]




【卒業と証書】

 この話は僕が小学生の卒業式の時の話である。

僕は、電波飛び交う、ネット社会の中で、卒業式を行った、卒業式では勿論、これまでの小学生6年を思い出して、クラスメイトの皆と泣いた。

何も考えず通った、1年、友達が出来て充実した年を過ごした2年、少しイキって調子に乗ってヤンチャした3年、その他、もろもろ。

そんな思い出をずっと巡らせながら、皆から卒業アルバムに寄せ書きを貰っては僕は一人、学校を出た。

その日は、生憎の雨模様だった、だけど、僕はそれも思い出の一つと思って、帰路を辿っていった。

6年間、通った、通学路、もとい、帰路はもう使わない、通わない事を実感して、何だか寂しい気持ちになったんだ。

傘に、雨が降り注く、音を耳に入れながら、僕はある事を思い出したんだ。

それは、僕がこれを話している中学1年の歳、現在までも"不登校"を患っている、中学2年の兄の事だ。

兄は、中学1年の10月頃から、不登校を患った。

理由は、部活の先輩のいじりや、周りと合わせる生活に嫌気が差したらしい、だが僕には兄の考えは理解出来なかった。

第一、先輩のいじり何て、笑って流すものだし、周りと合わせる何て、学校や社会では当たり前だ。

兄は何でそんな、理由で学校を休むのか、僕は兄の事を嫌っているし情弱な人間だと今も思っていた。

それだけじゃない、兄は僕に、何時も憎たらしく、小言を言ってくる。

だけど、この時の僕は、あろう事か兄に卒業証書を見せる事を考えていたんだ、その出来事のお陰で兄を嫌いになったんだから、言語同断だ。

だが、僕はそんな考えを巡らせながら、傘に雨を打たせ、家に帰ったんだ。

 家に帰ってみると、お母さんとお父さんは、僕を盛大に祝ってくれたんだ、今でも覚えている。

僕をしゃぶしゃぶに連れて行ってくれた事を、兄が一緒に行く事を拒否したのも。

腹を、満たして、帰りの車内でお母さんとお父さんは僕を存分に褒めてくれた、そうして、僕達は家に戻った、家に着き、お母さんとお父さんは、先に寝室に戻って、僕はとうとう兄に卒業証書を見せる事になった。



【二人の学生の苦悩】

 僕は、夜中の10時前に、兄の部屋の扉の前に、歩み寄った、手に卒業証書を持って、そして扉をノックした、兄は直ぐに気付いた様で、その憎たらしい声でその時、言ったんだ。

「入って良いぞ」

僕はドアノブに手をかけ、扉を開いた。

扉を開けてみると、エナジードリンクの薬品染みた匂いが鼻に入って、明るい、少し散らかった部屋がそこにはあった、兄はエナジードリンクの缶を、机の上に置いて、据わった眼でこっちを見た。

僕は笑顔を浮かべて、兄に卒業証書を見せて、卒業式、これまでの学校生活を意気揚々に語った。

兄は据わった眼で、こちらを見ながら、無愛想に言ったんだ。

「…………良かったな」

兄は、そう言って、またエナジードリンクを、口に運び飲む、だが僕はあろう事か、こんな事を言ったんだ。

「だからさ………お兄ちゃん、中学生になったら」

「また………僕と一緒に学校に行こうよ?」

兄は眼を尖らせて、エナジードリンクを勢いよく、荒々しく、音を立てて、置き、苛ついた様子で僕を怒鳴った。

「さっきから……お前………俺の事舐めてんのか?!」

僕は大声に、怯んで、小さな声で、否定した、だが、兄はそんなの関係無しに憎たらしいその声で、僕を捲し立てたんだ。

「わざわざ、卒業証書なんぞ、見せやがって!」

兄は僕の卒業証書を払い除けて、飛ばして言った。

「学校に行こうよ?だって??」

「ふざけんなよ、何回言われたと思ってんだ、その憎たらしい、台詞を?!」

「俺はその学校が嫌で今引きこもってんだよ!」

社会に属する人間おまえらは、何時もそうやって、俺みたいな、不登校を批判すんだろ?」

「『"当たり前の事も出来ない情弱だ"』なんてな!」

「もう、そんなクソみてぇな、ルールや制度には、疲れたし嫌気が差したんだよ!!」

「ああ!判ってるよ、俺がこのまま、引き籠もりの、負け組になるなんて、俺が判ってるよ!!」

「学校に行けて偉いだの、学校に行けないのは、普通じゃないだの、何て、誰が決めたんだ?」

「俺はただあの環境が肌に合わなかったんだよ!」

兄はそう、怒りの感情を僕に出し、愚痴る様に、叱るようにそう言った。

「はぁはぁはぁ、もういい!暫く一人にしてくれ」

「母さんにも父さんにも」

兄は、そう言い、流れた一粒の涙を、強く擦って、払った、僕は、兄の部屋を出た。

これ以上、話すのは嫌な過去をまた掘り起こす事になる、そんな気持ちを長々と綴り、僕は”学校”に行った。

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