第10話

「カスくんも僕と同じだと思うよ、絶対に応援してくれるよ」



「うん…そうだと良いんだけど…」



その日、結局クズがカスになんの用があったのか私には分からぬまま、2時間後に石田と共に帰って行った。



(結局クズはカスになんの用があったんだろう…ずっと2人で家事してただけだったような…)



夕方、私は洗濯物を取り込むカスの後ろ姿をぼーっと眺めていると、玄関の開く音がした。



「あ、お母さんお帰り」



「ただいま〜、お風呂掃除してくれた?」



「ああ、お風呂ならクズがやってくれてたよ」



「え、クズ…って石田くんが来てたの?」



「うん、久しぶりに会った。元気そうだったよ」



私の言葉に母は何故か唖然とした顔で「元気そうだったってアンタ…」と途中で言葉を飲み込んだ。



「?なに、石田くんがどうしたの?」



母の明らかにいつもと違う様子に、私の胸がザワついた。



まるで自分が取り返しのつかない大きなミスをしてしまったような、そんな感覚だった。

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新種の虫だと思って育てたらUMAだった話。 椿 @Tubaki_0902

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