ヴェアヴォルフ
海先星奈
ヴェアヴォルフ
僕はヒーローにはなれないんだ
どうかその銀の弾を撃ってくれ
満月が狂わせる
あの花を踏みにじる
生身の人間だ
生身の怪物だ
ドラキュラみたいに一度死んでいたなら
そのほうがずっと悲しくないだろうね
握った手の感覚は
育てた花の香りと
優しく交わり美しく
花畑になるだろうね
臆病な僕は
君に言えないで
満月の夜一人で
あの花畑を壊す
どうか見ないでいてください
狼に変わった僕など
毛だらけになった
血だらけの僕を
君だけは見ないでいて
何度も考えた
何度も手を伸ばす
撃ち抜くための銀の弾はここにある
君を傷つけないための手段なんだ
銃を握り込んでみる
僕の心臓のようだ
冷たく熱さえ移さずに
僕を化け物だと知らせる
臆病な僕は
君に言わないで
満月の夜一人で
あの花畑で終わる
どうか見付けないでいて
銀の弾丸で死ぬ僕を
愛するあなたの
そばにいられない
悲しい怪物なんて
あなたが僕のいない世界で
幸せでいてくれるのならば
銀の弾丸でさえ
恐ろしくはないんだ
僕は君のヒーローになれない
きっと君を手にかけてしまうね
だから君に心を伝えるには
僕の命をあげるしかないんだ
満月の夜があの花を照らす
そこに僕だった何かの全てを
ヴェアヴォルフ 海先星奈 @Sehgers8140
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