僕のカラオケスイッチ!

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

カラオケは私にとって最高の趣味であり、心から楽しむことのできる貴重な時間です。ストレス発散の効果も抜群で、歌うたびに気分がスッキリします。歌いたい曲が流れ出すと、まるで自分の中の「スイッチ」が入ったように、全力で歌い始めてしまいます。音楽に合わせて声を出し、歌詞に感情を込め、ただその瞬間に集中することで、普段抱えているストレスや不安が一気に解放されるのを感じます。


ですが、私のカラオケには一つの問題があります。それは、行くといつも、かなり疲れてしまうことです。歌うことが好きだからこそ、どうしても力が入りすぎてしまうのです。曲が盛り上がるたびに声も大きくなり、次第に全身で歌い切ろうとする自分がいます。そして、ついついマイクを強く握りしめてしまう癖があり、歌い終わった頃には、手が痛くなってしまうのです。この「マイクを握りすぎて痛む手」が、私にとってカラオケの一部となっている気がします。


私のカラオケは、ある種の「儀式」のようなもので、特別な条件があります。まず、必ず決まった機種のカラオケでなければ歌えません。また、私は原曲キーでしか歌えず、曲の歌詞を見ながらでなければ気持ちよく歌うことができません。これらの条件がそろって初めて、私の中で「カラオケスイッチ」がしっかりと入るのです。人によっては、「そんなに細かくこだわる必要あるの?」と思われるかもしれませんが、このこだわりがあるからこそ、私は心から満足できるのです。


毎回、満足するまで歌い続け、体力が尽きたところでやっとマイクを置きます。歌っている間はエネルギーが満ち溢れているのに、終わった瞬間に急にどっと疲れが押し寄せます。その疲れは、まるでランニングを終えた後のようで、体がぐったりと重く感じられるほどです。けれども、不思議なことに、この疲れが私にとっては心地よくもあります。疲れ果てて帰宅すると、心地よい達成感と共に、その日はぐっすりと眠ることができるのです。


また、私は外出できない日にも歌いたいという気持ちを抑えられないことがあり、家でもカラオケアプリを使ってこっそり歌っています。このアプリも、普段使っているカラオケ機種と同じもので、同じように原曲キーで歌うことができるので、いつものカラオケと変わらない満足感を得られます。家で歌うのは、もちろん外のカラオケほど気持ちが解放されるわけではありませんが、それでも歌うことで一日の疲れが少し和らぎ、気分転換になります。


こうして考えると、カラオケは私にとって単なる趣味ではなく、自分のためだけの「自分だけの世界」であり、誰にも邪魔されない「欠かせない時間」だと言えます。普段は他人に気を遣うことが多い私ですが、カラオケの時間だけは完全に自分のために使うことができるのです。誰かに聴かせるためではなく、また何かを証明するためでもありません。ただ、自分のストレスを解消し、自分自身を癒すためだけに歌っています。


毎回、カラオケでスイッチが入る瞬間は、私にとってとても特別なものです。音楽が始まり、マイクを握ると、そこから先はただ歌うことに没頭します。歌の中で、普段表現できない自分を解放し、自由に感情をぶつけることで、自分自身をリセットしているような気がします。この「カラオケスイッチ」があるからこそ、私は日々のストレスと向き合いながらも、また前向きに過ごすことができるのだと思います。


今後も、カラオケという「スイッチ」を大切にしていきたいと思います。

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