第18話モブの醍醐味
アイラとヨハネスを乗せた馬車がガルバドール侯爵邸へと到着した。
「アイラ起きて。到着したよ」
ヨハネスは眠っているアイラの体を軽く揺らしながら声をかけた。
「んん、、う、う〜ん。暖かいからまだもう少し寝かせて」
ヨハネスに声をかけたれたアイラは薄っすらと目を開け寝ぼけながら言った。
(寝ぼけてるアイラ可愛いな)
ヨハネスは寝ぼけているアイラを見てクスっと笑いながら思っていた。
「ではもう少しこのまま寝ていても構わないよ」
ヨハネスは優しく微笑みながらアイラの耳元で囁いた。
「んん〜じゃぁもう少しだけ、、」
アイラはむにゃむにゃしながら言った。
(あぁ良かった。今日は予想外の事が多すぎてキャパオーバーしてたから多めにお昼寝したかったのよね。あぁ…でもヨハネス様が御見舞に来てくれているかそんなに昼寝もできないか!?!?)
アイラは心地よく寝ぼけながら考えていた。
だが段々と夢と現実がはっきりとなり心地よさそうな表情が一気に青ざめたのだった。
そしてアイラはそっと目を開けてゆっくりと横を見た。
「おや?もう起きたのかい?」
そんなアイラへヨハネスが笑顔で言った。
(ぎゃぁぁぁぁぁぁーーー!)
アイラは心の中で叫んだ。
「も、申し訳ありません!!」
アイラはギョっとした表情でヨハネスへ言うと瞬時にヨハネスから離れた。
(やってしまった。完全にヨハネス様によりかかって爆睡してたわ。ゔゔ、どうしよう。ヨハネス様に醜態を見せてしまったわ。バカバカ…私のバカ)
アイラは下を向きながら恥ずかしさとやってしまったという表情でそんな事を考えていた。
「謝らなくてもいいよ?私はアイラの可愛い寝顔が見られたからね」
ヨハネスはにこりと微笑みながらアイラへ言った。
(!!!?)
アイラはヨハネスの言葉に驚き頬を赤らめた。
(か、可愛いって。攻略対象者はそんなサラッと照れる事を平気で言うんだから)
アイラは戸惑い気味に顔を熱くしながら考えた。
(顔を真っ赤にして照れてる。本当に可愛いな)
ヨハネスはそんな一人戸惑いアイラを愛おしそうに微笑みながら思っていた。
「ひ、一先ず馬車から降りましょう!」
アイラが顔を赤くしたまま慌ててヨハネスへ言った。
「あぁ。そうしようか」
ヨハネスはにこりと微笑みながら言った。
「はい」
アイラは頷きながら言った。
そして二人は馬車から降りて邸の中へと入った。
アイラはスミス達にヨハネスが御見舞に来てくれたと伝えた。
御見舞に来ようとしていたヨハネスと街でばったり遭遇して一緒に帰宅してきた事も説明した。
「ヨハネス様アイラの御見舞などとお気遣い頂きありがとうございます」
スミスがヨハネスへと言った。
「ガルバドール侯爵様お気になさらないで下さい。私がアイラの様子が気になり行動した事なのですから」
ヨハネスはにこりと微笑みながらスミスへ言った。
「はい」
スミスがヨハネスをじっと見て言った。
「アイラ、まだ怪我が完治していない中で出かけるのは疲れただろう?部屋に戻ってゆっくり休みなさい」
スミスがアイラの怪我を気遣い優しく言った。
「分かりました、お父様」
アイラは頷きながらスミスへ言った。
「あ、そうだわ。その前にお父様達にお話があるのです」
アイラは部屋に戻ろうとした時にハッと思い出して言った。
「何だ?」
スミスがアイラへ尋ねた。
「今日街へ出かけた際にいつも行っている手芸屋の店主さんから店主さんのお友達が以前私が街の市に出店した際に私のお店で商品を買ってくださったみたいなのですがどうやら私の作った物を随分と気に入って下さった様なのです。それでその方は自身でお店をしているのですがその方がお店に私の作った商品を委託販売して欲しいと提案されたのです」
アイラは戸惑いつつスミス達に説明した。
「アイラの作ったものを?!」
スミスがアイラの説明を聞き驚き言った。
「アイラ凄いじゃないか。アイラの作ったものがそれ程評価されているという事じゃないか!」
カイルは少し興奮気味にアイラへ言った。
「それでアイラはそのお話を受けるつもりでいるの?」
マリがアイラへ尋ねた。
「はい。是非お受けしたいと思いまして。実はすでにお受けしたのです」
アイラは苦笑いを浮べて言った。
「あら?そうなの?!」
マリは思わず驚いて言った。
「はい。お話を聞いた時につい嬉しくなりその場で了承してしまいまして。お父様達に相談もなく勝手に決めてしまい事後報告の様な形になってしまい申し訳ありません。私が委託販売に携わるという事はガルバドール家の評判にも関わってきますのでもしも反対でしたら仰ってください。明日にでももう一度街に出てお断りしてきますので」
アイラは困った表情を浮べて言った。
(浅はかだったわね。前世と違って今世では貴族の娘なんだからこういう事は独断で決めてはいけなかったのよね)
アイラはそんな事を考えていた。
「アイラ、そんな顔をしなくてもいい。その話そのままお受けしてアイラの好きな様にやってみるといいさ」
スミスは優しい表情を浮べてアイラへ言った。
「え?」
アイラはスミスの言葉が予想外過ぎて思わず目を丸くしながら言った。
「我が侯爵家の評判に関わるというがアイラは自分の意思で良い事をしようとしているんだぞ?評判と秩序がその行動はむしろ侯爵家の良い評判に繋がると思うのだが?だからそんな事は気にせず自分の思うように好きにやってみなさい。私達はアイラが新しい事に挑戦する事を応援するから」
スミスはアイラの不安を吹き飛ばす様に優しい笑顔でアイラへ言った。
「お父様ありがとうございます」
アイラはスミスの優しさを感じながら嬉しそうに言った。
「ふふ。良かったわねアイラ」
「良かったなアイラ」
「アイラよかったね」
マリとカイルとヨハネスも笑顔でアイラへ言った。
「はい。ありがとうございます」
アイラは嬉しそうに応えた。
(嬉しいな。本当にお父様達には感謝ね)
アイラはそんな事を思っていた。
「さぁ話はまとまったからアイラは部屋に戻って休みなさい」
スミスは優しくアイラへ言った。
「はい、分かりました。では私は失礼しますね」
アイラは頷きながら言った。
「あ、ヨハネス様わざわざ御見舞にと足を運んで頂きありがとうございました」
アイラはその場を離れる前に少し照れた様にヨハネスへと言った。
「あぁ。アイラの元気そうな顔を見れて安心したよ。御見舞にと持ってきた花は使用人に渡しておくから」
ヨハネスはにこりと微笑みながら言った。
「はい。ありがとうございます。私の部屋に飾って欲しいとお願いしておきます」
アイラが微笑みながら言った。
「あぁ」
ヨハネスは嬉しそうに言った。
「それと帰り際に声をかけてもらってもよろしいですか?」
アイラがヨハネスへ言った。
「ん?いいけど何かあるのかな?」
ヨハネスが不思議そうにアイラへ言った。
「はい。ニーナに洋服を作っているのですが今日買ってきた素材を付け足したら完成するのでよろしければニーナへ持って帰り渡して頂けませんか?」
アイラがヨハネスへ言った。
「ニーナに?あぁ、わかったよ。帰りにアイラへ声をかけるようにしよう」
ヨハネスは微笑みながら言った。
「はい。宜しくお願いします」
アイラはホッとして微笑みながら言った。
そしてアイラはその場を後にしたのだった。
(お父様達にも委託販売の許可も貰ったしお父様には休みなさいって言われたけどじっと休んでなんていられないわ!委託販売用の商品を早速作らなきゃね!)
アイラは嬉しそうな表情でそんな事を考えながら自室へと向かったのだった。
※
アイラが部屋を出たのを確認するとその場に残ったヨハネス達の表情が一気に真剣なものに変わった。
「ガルバドール侯爵様、学園行事でのアイラの件をカイルから聞いたかと思いますが」
ヨハネスは真剣な表情でスミスへ言った。
「はい。伺いました。その節はアイラを見つけてくださり本当にありがとうございました。どう感謝を伝えればよいのやら」
スミスは頷きながら応えるとヨハネスへ頭を下げながら言った。
「ヨハネス様本当にありがとうございました。お陰でアイラが無事に帰宅する事ができました」
マリもヨハネスへ頭を下げながら言った。
「お二人とも頭をお上げください。私は何が何でもアイラを見つけると決めていましたので。当然の事をしたまでですから」
ヨハネスは頭を下げるスミスとマリに慌てて言うとすぐに優しい表情を浮べて言った。
そんなヨハネスの表情をカイルがジッと見ていた。
「それよりも今後も今回の様な事が起きないとも言い切れません」
ヨハネスは表情を険しくして言った。
「ヨハネスの言う通りです。ジェシカ嬢が関わっているのであればこのままあの令嬢が大人しく引き下がるとは思えませんからね」
カイルも表情を険しくしながら言った。
「ふむ。しかし厄介なのはバーレン公爵が令嬢をとても可愛がっているということですね。令嬢の独断の行動だとしても何か都合の悪い事態になれば公爵が何らかの形で令嬢の行動を隠蔽することでしょう」
スミスも険しい表情で言った。
「確かにバーレン公爵ならばやりかねませんね」
ヨハネスは険しい表情のまま言った。
「それにしてもアイラがカミラを庇ってジェシカ嬢の機嫌を損ねてアイラへ危害を加えた。しかし何故その後もアイラへ執着するのだろうか。その時の事をまだ根に持ち嫌がらせをしているのか?ヨハネスがアイラは私の妹だとその時に知ったというのに。アイラがガルバドール侯爵家の令嬢だと知っていてアイラに危害を加えてくるなど…いくらバーレン公爵家の方が爵位が上だとはいえガルバドール侯爵家を敵に回してまですることなのか?!」
カイルは表情を歪ませたままヨハネスへ言った。
「確かにジェシカ嬢のアイラへ対する嫌がらせは異常だな。カミラ嬢を庇った時の出来事だけが原因ではないのかもしれないな」
ヨハネスは眉をひそめて言った。
「何にしてもこれ以上アイラへ危害を加えられる訳にはいきません。アイラはいつも自分の事より人の事を心配する様な優しい子です。きっと何かあっても私達には心配かけない様にと言ってこないでしょう。だからこそ絶対にアイラを守ってやらなければなりません」
スミスは真剣な表情で言った。
横にいたマリも同意見だと言わんばかりに頷いた。
「はい。承知しています。私も同じ気持ちです。この件には殿下も協力をしてくださっていますので今後は学園では私とカイル、そして殿下もジェシカ嬢やジェシカ嬢の取り巻き令嬢を監視するつもりです。些細な行動も見逃す事のない様にしますので学園での事はお任せください」
ヨハネスがスミスとマリへ言った。
「ありがとうございます。そう言って頂けると心強いです」
スミスは頭を下げながらヨハネスへ言った。
「家では侯爵様や夫人、そしてカイルがアイラの様子を見ていて下さい」
ヨハネスがスミスとマリとカイルへ言った。
「承知しました」
「承知いたしました」
「あぁ。もちろんだ」
スミス達が頷きながら応えた。
※
ヨハネス達が話をしているその頃、、
アイラは自室でニーナの洋服作りの仕上げをしていた。
街で買ってきたレースやリボンをふんだんに縫い付けた。
「出来たわ!」
アイラはレースとリボンを縫い付けると洋服を広げて達成感満載の表情で言った。
「やっぱりレースとリボンを追加して正解だったわね!ニーナにきっとよく似合うわ」
アイラはにこにこと微笑みながら言った。
「やっぱりミシンがあるだけで手縫いとは全然違うわ」
アイラはミシンのありがたみを噛み締めながら言った。
「ミシンもあるし委託販売の商品に洋服も何着か作れるかしら」
アイラはニーナに作った洋服を見つめながら呟いた。
「うん!そうしよう!洋服にヘアアクセサリー。私の作る商品が沢山の人の手に取ってもらえるのよね」
アイラは信じられないという表情で呟いた。
(前世では多いときは週の半分はイベントに出店してたもんね。委託販売も何軒かのお店にしてたけどこの世界でも委託販売できるなんて本当に夢見たい)
アイラはそんな事を考えていた。
(これぞ私が求めていたモブの醍醐味ね。ハンドメイドをしながらモブらしく平凡に過ごすこと。まさかこんなに早く実現できるなんて)
アイラは幸せそうな表情で考えていた。
「あ、そうだわ。せっかく私の商品を手に取ってくれる人達がいるんだから感謝の意味も込めて何かおまけみたいなものを渡せないかな」
アイラは考え込む様に呟いた。
「ん〜、あっ!そうだ!石鹸にしよう!この世界にある材料でも十分に可愛い石鹸が作れるはずだしね!うん!そうしよう!お店に来てくれた人達に感謝の気持ちとして手作り石鹸を渡そう!」
アイラは悩みに悩んでいい案が思い浮かび嬉しそうに言った。
「となったら早速どんな石鹸を作るか決めないとね!」
アイラは目を輝かせながら言った。
その時、、
コンコンッ。
アイラの部屋の扉が鳴った。
「アイラ?私だけど」
扉の外からヨハネスがアイラへ言った。
「あ、はい!」
アイラは慌てて応えると部屋の扉を開けた。
「休まずまた何かしてただろう?」
ヨハネスは困った表情でアイラを見て言った。
「え?あ、はい」
アイラは苦笑いを浮べて言った。
「あ!でもニーナの洋服が完成しました!どうぞ中へ入ってヨハネス様も見てみてください!」
アイラは誤魔化す様に言うも笑顔でヨハネスへ言った。
「ではお言葉に甘えて失礼するよ」
ヨハネスはにこりと微笑みながら言った。
「はい」
アイラが言った。
そして、ヨハネスはアイラの部屋へと入った。
「ヨハネス様こちらです。ニーナへ作ったものです」
アイラは嬉しそうにヨハネスへと洋服を広げて見せながら言った。
「これは。凄くニーナ好みのものだね」
ヨハネスは洋服を見て驚いた表情で言った。
「やっぱりそう思いますか?ニーナの事を考えながら作ったのです。ニーナならきっとこんな感じのデザインが好きだろうなとか色々とニーナの事を考えながら作りました」
アイラはにこにこと嬉しそうにヨハネスへ言った。
「ニーナの事を考えながら作ってくれてありがとう。きっとニーナは喜ぶだろうな」
ヨハネスは笑顔で言った。
「そうだと嬉しいです」
アイラが言った。
「あぁ。ところで委託販売はいつからする予定なんだい?」
ヨハネスがアイラへ尋ねた。
「予定では次の休みの日に商品をお店へ持ち込みしようかと考えています。休みの日でしたら私も店頭に立つことが出来ますし」
アイラが笑顔で応えた。
「次の休みか。それまでに商品を作るんだよね?そんなに日数がある訳ではないからってあまり根詰めてはだめだよ?」
ヨハネスは心配げな表情で言った。
「はい。無理しない程度に商品を作りたいと思います」
アイラは痛いところを突かれたといわんばかりに苦笑いを浮べて言った。
「よろしい!」
ヨハネスは笑顔で言った。
そんなヨハネスを見てアイラも笑みを浮かべたのだった。
※
それからアイラは残りの休みの間に何点かの商品を作った。
洋服を数着、ヘアアクセサリーを作れるだけ。
そして学園が終わるとすぐに帰宅して商品作りに没頭したのだった。
そして、、
休みの日の前日ようやく委託できる程の点数の商品を完成させたのだった。
「これくらいあれば一先ずは十分よね」
アイラは完成した商品を見ながらやりきった感満載の表情で呟いた。
「いよいよ…明日ね。楽しみだけど緊張してきたわね」
アイラは呟いた。
「でもこんな機会もうないかもしれないんだから出来ることはやらないとね!」
アイラはフンッと鼻を鳴らしながら自分に気合を入れる様に言ったのだった。
※
そして、委託販売を開始する当日。
アイラは出かけるの前に忘れ物がないかをしっかりと確認しながら支度を済ますとスミス達に見守れながら街へと出発つした。
そして街に到着するとアイラは荷物を抱えてサリーのお店へと行った。
カランカラン、、
「サリーさんおはようございます!」
アイラはサリーの店に到着して扉を開けるとサリーへ笑顔で挨拶をした。
「おはようございます。アイラさん。朝早くから足を運んでもらいありがとうございます」
サリーが笑顔でアイラへ言った。
「いえこちらこそありがとうございます。今日をとても楽しみにしてましたので」
アイラは笑顔で言った。
「そう言ってもらえると嬉しい限りです。さぁさぁ荷物重たかったでしょう?早速商品をディスプレイしましょう!」
サリーが笑顔で言った。
「はい!」
アイラは笑顔で応えた。
それからアイラとサリーはアイラの商品を二人で話し合って試行錯誤しながらディスプレイした。
そして、あっという間にお店のオープンの時間がやってきたのだった…
「「いらっしゃいませ!」」
アイラとサリーが店の扉を開けながら外に待機していたお客達へ笑顔で言った。
すると、店がオープンするやいなやアイラの商品が買えるのを楽しみにしていたお客たちが押し寄せた。
「わぁ〜。あなたの商品が販売されると聞いて楽しみにしていたのよ!」
「わぁ〜聞いていた通りとても可愛いものばかりね!」
「朝から並んで待ってた甲斐があったわね!」
「商品も可愛いけど作ってるあなたもとても可愛らしい人ね!」
「ママ〜、私これが欲しいな〜」
「私はこっちのが欲しいな」
店に入ってきたお客達はグイグイアイラへ話しかけたり商品に釘付けになっていた。
アイラはそんな目の前の状況に戸惑いながらもとても温かい気持ちになっていた。
(こんなに沢山の人が来てくれるなんて思ってもみなかったから本当に本当に嬉しいわ)
アイラは目の前の状況を目にしながらそんな事を考えていた。
そして、アイラはお客一人一人に丁寧に接客をした。
そして、来てくれたお客皆へ感謝の気持ちを込めて手作り石鹸を手渡したのだった。
アイラの作った石鹸はカラフルな色の物をあえて不揃いにカットして袋へ入れてラッピングしてあるものだった。
石鹸を手渡されたお客達はとても満足そうに皆笑顔でアイラへお礼を言って帰って行ったのだった。
アイラの委託した商品50点は店がオープンしてから一時間も経たないうちに完売したのだった。
「アイラさん驚いたでしょう?あんなに一気に人が押し寄せて」
サリーが戸惑った表情でアイラへ言った。
「確かに勢いに最初は驚いてしまいましたがあの様に私の商品を楽しみにしていてくださっていた上に満足して購入されて帰っていかれたのを見たら…胸がいっぱいになりました」
アイラは満面の笑みでサリーへ言った。
「ふふ、本当に皆さんアイラさんの作る物を楽しみにしてましたからね」
サリーが微笑みながら言った。
「市へ出店した際もそうでしたがこうして沢山の方に私の作った物を手に取り喜んでくださるのはとても嬉しいです。次はもっと沢山作ろうと思いました」
アイラは笑顔で言った。
「あぁして喜んでくれるお客さんの顔を見れるから店をやめられないんですよ」
サリーが笑顔で言った。
「そうですね。お気持ち分かります」
アイラが笑顔で言った。
その時、、
カランカラン、、
店の扉が開いた。
「「いらっしゃいませ!」」
アイラとサリーが開いた扉の方を見て言った。
「え?」
アイラは扉の方を見て驚きながら言った。
「お兄様にヨハネス様にニーナ?それに殿、、レオン様?!」
アイラは目の前にいる人達を見て驚き言った。
「アイラ!委託販売の方はどうだい?初日順調かい?」
カイルが笑顔で言った。
「え?あ、はい。すでに私の委託した商品は完売しました。それよりどうしてお兄様達が?」
アイラがカイルへ言った。
「え?もう完売したの?!凄いじゃないか!」
カイルは驚きながらも嬉しそうにアイラへ言った。
「アイラ突然訪問してごめんね。アイラを驚かせ様としたんだけど驚かせすぎたかな?」
ヨハネスは苦笑いを浮べてアイラへ言った。
「いえ。驚いたのは確かですけど」
アイラは慌てて言った。
「アイラおねえさまにどうしてもお祝いを直接言いたくて私がお兄様にわがまま言って連れてきてもらったの」
ニーナが申し訳なさそうにアイラへ言った。
「まぁニーナが?それならば何て嬉しい事なのかしら」
アイラは満面の笑みでニーナへ言った。
「本当に?!私が来たの嬉しい?」
ニーナはパァっと笑顔になり言った。
「えぇ。もちろんよ。ニーナの気持ちが伝わってきてとても嬉しいわ。ありがとう」
アイラは頷きながら笑顔で言った。
「ふふ。良かった〜。あ、私への洋服のお礼も直接言いたかったの。とても可愛くて素敵な洋服をありがとう。とっても気に入ったの。早速着てみたけどどう?似合う?」
ニーナは目を輝かせてアイラへ言った。
「えぇ。想像していたよりもとても可愛くて似合っているわ」
アイラは笑顔でニーナを見て言った。
「良かった〜!」
ニーナは嬉しそうに言った。
「アイラこれを」
レオンがアイラへ花束を差し出して言った。
「アイラの委託販売のお祝いにだ」
レオンは微笑みながら言った。
「わぁきれいですね!ありがとうございます。レオン様。」
アイラは花束を受け取り見ると笑顔でレオンへ言った。
「あぁ」
レオンはとても優しい笑みを浮べて言った。
「あっ!そうだわ」
アイラはハッとなり言うと荷物の中から石鹸を取り出した。
そして、、
「これ今日来てくださった方に感謝の気持ちの意味も込めてお渡ししている石鹸なのです。よろしければ皆さんにも」
アイラはそう言うと四人へ石鹸を手渡した。
「お兄様。お兄様にはローズさんの分も渡しておくからローズさんにも良かったら渡して差し上げて下さい」
アイラは笑顔でカイルへ言った。
「アイラありがとう。きっとローズも喜ぶよ」
カイルは嬉しそうにアイラへ言った。
「ニーナにはこの石鹸を」
アイラはニーナにピンクを基調とした石鹸を手渡した。
「わぁ〜ピンクの石鹸だ。可愛い。アイラおねえさまありがとう」
ニーナは笑顔でアイラへ言った。
「ヨハネス様にはこちらを」
アイラはヨハネスには澄んだ青を基調とした海の様な石鹸を手渡しながら言った。
「綺麗な青色だね。ありがとうアイラ」
ヨハネスは嬉しそうに微笑みながら言った。
「レオン様にはこちらとこちらを」
アイラはレオンには金箔を少し混ぜた透明な石鹸と薄い紫色と花びらが混じった透明な石鹸を手渡しながら言った。
「これは綺麗だな。こちらの花びらが入った石鹸は?」
レオンが花びらの入った石鹸を見て不思議そうにアイラへ尋ねた。
「こちらはよろしければ鑑賞様にでも置いて頂けますのでお花好きのお母様にお渡し下さい。手作りのもので申し訳ありませんが」
アイラは少し戸惑いながらレオンへ言った。
「母上に?ありがとう。きっと母上もお喜びになるだろう」
レオンは一瞬固まるもすぐにとても優しい笑みを浮べてアイラへ言った。
「それならば良かったです」
アイラは微笑みながら言った。
「さぁさぁ、アイラさんのお兄さんもアイラさんのお知り合いでしたらお茶でも飲んでいって下さい。今はお客さんも落ち着いていますので」
状況を見かねたサリーが気を利かせてアイラ達へと言った。
「サリーさんどうもありがとうございます。ではお言葉にあまえてそうさせて頂きます」
アイラは笑顔でサリーへ言った。
そして、アイラ達はサリーが用意してくれたお茶を飲みながら少しの間話にはなをさかせたのだった…
こうしてアイラの今世でのはじめの委託販売は成功に終わりアイラはとても充実感と幸福を感じていたのだった。
この時のアイラは委託販売が出来た事で自分がゲームの世界のモブキャラに転生した事を本当に良かったと思っていた。
しかし、この時のアイラはこの先自分に恐ろしい事が起きるなど想像もしていなかったのだった。
悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラに転生したので大好きなハンドメイドをしながら暮らす事にしました!! ☆乙女図☆ @otomezu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。悪役令嬢でもなくヒロインでもないまさかのモブキャラに転生したので大好きなハンドメイドをしながら暮らす事にしました!!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます