Tea for Two 🍪

上月くるを

Tea for Two 🍪



鳩のごと希望を連れて冬に入る

いただきに雲をあそばせ冬の山


からまつの落葉の雨の金色に

迫力や空き家を埋める蔦枯葉


穭田に稲穂ふつさり実りけり

葱畑にバサと羽ばたく黒き鳥


とろ~りととろみのつきたる冬の川

冬かもめ産まぬ男のせうしかせうし


風やみて冬薔薇の朱の完結す

たたみ屋の畳の旗に冬日ざし


カシミヤのカーディガン着てTea for Two

ハミングのジャズヴォーカルや花アロエ


冬たんぽぽ男声デュオのリサイタル

「幻想曲」を吹くブロンズや空つ風


イヤホンの自転車が行く冬木道

パンぶくろ転がしてゐる枯木道


北風にとられしメモを追ひかけて

をんなゐてをとこの来る冬野かな


冬灯ただひたすらに祈りをり

霜の夜に思いの丈の響きけり




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Tea for Two 🍪 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ