おまけ② 〈アフリカン・カンフー・ナチス〉

 何だったかなあこの映画…しばらくナチから離れてた時に、ネット(SNS)でバズって、単館上映するっていうんで相方と観に行ったんですよねえ…。


 …ああ、そうだそうだ(ネット検索の音)。


 ヒトラーと東條英機がガーナに落ち延びて現地の人々を洗脳して再起を図るという、で、そこになぜか空手の達人と、そいつに(謎の)教えを受けた主人公(ガーナ人)がヒトラーの野望をくじこうと殺し合いに参加するって…で、なぜガーナ?


 よく、「初めて、映画観て金返せと思った」とか言いますよね。私も「もしかしたら途中で寝るかも…」と思っていたんですが。


 全然そんなことなかった(笑)。


 これが前評判通りにホントしょーもない映画でしてねえ。高校生どころか中学生の文化祭レベル(いや、今はもっとマシなものが作れる)。東條英機役はそのへんの八百屋かクリーニング屋の親父じゃなかったかな? CGはすげえCGだし(意味不明)、時代考証なんてハナから存在しない。1940年代って設定なのに、やる気のないエキストラが持ち込んだスマートフォンがバッチリ映っちゃってるし(笑)。


 ぱっちり目を見開いたまま全編観終わって映画館出て、相方と、

「…なんかすがすがしいキモチになったね?!」

「うん! 2,000円ドブに捨てたって気持ちは全然ないね! むしろお布施したって感じ!」

 とウキウキしながら帰りましたとさ。

 こんなキモチになったのは初めて♡


 うーん、でも、初めてといいつつ、どっかで体験したんだよなあこの感じ…

 あっ『ボボボーボ・ボーボボ』〔*〕を読んだ時と同じだ!


 思いっきりハジけ…もとい突き抜けたモノを見た時、時代考証なんて観念は宇宙の果てまで飛んでいってしまうんでしょうねえ…。これが小説なら、読んでる途中で本をブン投げてるところですが。


 この、まるで厄払いをしてもらったかのようなすがすがしいキモチに加え、途中でやたらCMソングのように挟み込まれる「アフリカン・カンフー・ナチス♪」というタイトルフレーズが妙に耳について離れず、数年経った今でもこのように甦ってくるという、別な意味で記憶に残る映画です(笑)。



* 『週刊少年ジャンプ』で連載されていた、澤井啓夫サワイヨシオ作、不条理ギャグマンガ。寝入り端に見る悪夢のような言語センスが最高(そして、まさしくその悪夢のような世界が最近舞台化した)。

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記憶で語る戦争映画 吉村杏 @a-yoshimura

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