おまけ① 〈300〉

 男の筋肉がいっぱい出てくる映画を観たいならこれ。アドレナリン値も上がります。相方も「闘争本能が刺激されるんだよなー♪」と言っております(脳筋)。


 数万のペルシア軍を相手にたった300人で戦うスパルタの、テルモピュライの戦いにおける数日を描いた映画。ていうか筋肉。


 出てくる、スパルタの筋骨隆々の兵士たち全員(あ、相手方もだった)が、ドラクエの「カンダタ」とか「夜のパンツマスク」みたいな上半身裸にパンツ一丁(+マント)という犯罪的な(誉め言葉)カッコをしているので、それが生理的にダメな女子は最初っから最後までダメでしょう。なにしろ最初っから最後まで筋肉だからね。見ない方がいい。夢に出るから。


 このテルモピュライの戦いは悲劇でしてね…


『テルモピュライなるスパルタ人の墓銘に/

 行く人よ、

 ラケダイモン〔*〕の国びとに

 ゆき伝へてよ、/

 この里に

 御身らが ことのまにまに

 われら死にきと』

 と、古代ギリシアの詩人シモニデスにうたわれています。

 つまり、全員死ぬ。


 ま、それでも、

『祖国のために死ぬのは美しく、また名誉なことである』

 と古代ローマの詩人ホラティウスも言っていることですので、なおのこと、“国のために戦う”=職業軍人の感が強調される。

 アメリカ海兵隊をオマージュだかモデルにしていると聞いて、「さもありなん」と思いました。


 中でもお気に入りのシーンは、一緒に戦う都市国家アテネアテナイの兵士と合流して、彼らに職業を尋ねるところ。

「陶工だ」とか「大工だ」のように、平時の職業を答える兵士たち。

 それを聞いてスパルタの指揮官は、自軍を振り返り、尋ねる。

「お前たちの職業は?」

 ここでの彼らのがまたシビれるのですが――んなことばっかやってっから、

『文化的に見るべきものは何もない』(『山川の世界史』、スパルタの項)とか書かれるんだよッ!

 でもってその後の戦闘で民兵を評して、思いっきり上から目線で、

「しろうとたちは役目を果たした」

 とかいってんのがまたイイ(相方はここで爆笑してました)。


 …でもねえ(と、ふと真面目な眼になり)。

 私は、民間人が兵士になる――自分の国は自分で守ろうという気概のある国の方が、好きです。スパルタはまあ…極端な国ですけどね。


 これを、都市国家ごとではなく、ギリシャ全体の話としてとらえた時、アテネの民兵は徴兵された一般人がメインで構成される通常軍、スパルタは特殊部隊というところでしょうか。

 特殊部隊ばかりで国対国の戦争はできないし、かといって通常軍すら誰もやろうとしないんじゃ、国自体が危うい。

(ギリシャという)国全体から考えたらどっちも必要なんですよ、と、1600年後の極東の島国で、男だったら兵役適齢期のミリタリー好きな(元)少女は呟くのでした。



 * スパルタの正式名称

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