わたしを通り過ぎて行った作品たち
諏訪野 滋
私の「好き」をぶつけさせていただきます。対ありです。
碧月葉様の自主企画「【あなたの書架】を覗いてみたい📙」に参加させて頂きました。
自己紹介的な企画への参加は初めてです。対戦よろしくお願いいたします!
などと書きつつ、もう大抵の個人情報割れてるけれどなーはっはー。
例によって長文です。愛だよ愛。3冊までなんて無理ィ…
①あなたのペンネームを教えてください。
諏訪野(すわの)滋(しげる)です。
②あなたが子どもの頃(小さい頃)、繰り返し読んだ本を教えてください(最大3冊まで、敬称略)。
ⅰ)「ロードス島戦記」 安田均(原案)・水野良(著)
私のファンタジー、そしてラノベの原点。小学生の時からガリガリのゲーマーだった私が定期購読していたとあるコンピューター雑誌にTRPGリプレイ小説として掲載されていたのが、この「ロードス島戦記」。アニオタでもあった私はイラストが出渕裕先生(ガンダムなどのメカデザイナーでも有名ですね)であったことにも感銘を受け(エルフと言えばディードリット、という方は多いでしょう)、リプレイをもとにした小説も完読。日本発のライトノベルファンタジーとして、原点にして王道の一作と言えるでしょう。田中芳樹先生のアルスラーン戦記、栗本薫先生のグイン・サーガなどにも連なる戦記ファンタジーとしても秀逸だとおもいます。十二国記、読まないといけないよなぁ…TRPG自体は全く経験がありませんが、リプレイ小説は今でも大好きです。手持ちの長編ファンタジー、改稿していつか投稿します…!
ⅱ)「悪魔の手毬唄」 横溝正史
ミステリーにおける私のオールタイムベスト。やはり小学生のころ、福岡市内の図書館に通ってはポプラ社の児童向け推理小説(表紙が分厚い奴です)を片っ端から読んでいました。ホームズ、ルパン、江戸川乱歩の各作品(児童向けなのでえっち抜きでアレンジされていました)を片端から読破。そんな私が次に手を付けたのが、横溝先生のシリーズでした。戦後間もない日本に残っている因習や近親相姦などを題材にした小説群は、程よい「毒」をもって私の中に浸透していきました。どの作品も非常に素晴らしいのですが、その中でもこの「悪魔の手毬唄」は全てのバランスが奇跡的。
童謡や筋書き通りに殺人が行われる「見立て殺人」としてはアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」(厳密には違いますがマザーグースがモチーフ)や同じ横溝先生の「獄門島」(こちらは俳句)なども優れていますが、「悪魔の手毬唄」はトリックや雰囲気を盛り上げるアイテムだけではなく、ストーリー自体が非常に秀逸。ネタバレになりますので詳細は伏せますが、殺人の動機とラストの展開は悲しくも美しくてため息が出ます。横溝先生ご自身も、一番好きな作品として本作を挙げられているようです。未読の方はぜひ!
ⅲ)「ARIEL」 笹本祐一
こちらは私のSFにおけるエヴァーグリーン。SFとしてはハヤカワ文庫をやはり多く読んでいて、クラーク・アシモフ・ブラッドベリを好んで摂取していました。そして同時に、ソノラマ文庫(朝日ソノラマ)も好きなブランドでした。こちらはSFに特化しているわけではありませんが、菊地秀行先生の「吸血鬼ハンターD」や夢枕獏先生の「キマイラ」などの人気シリーズを擁し、アニメのノベライズ作品も多く(ガンダムの小説版もここから)、実に私の好みにかなうものでした。
そして笹本先生の「ARIEL」。設定からして女性型巨大ロボが異星人の送り込む宇宙怪獣と戦う、というコメディ色の強いスペースオペラですが、中学生だった私は「宇宙には楽しいことがいっぱい詰まっているんだ!」と非常にワクワクさせて頂いたのを覚えています。SFは今でこそAIのシンギュラリティやサイバースペースなどがメインストリームになっていますが、私の少年時代は宇宙にまだ夢を持つことができた時代でした。「2001年宇宙の旅」「幼年期の終わり」「火星年代記」「スターウォーズ」「未知との遭遇」…私は今でも宇宙を題材にしたSFが好きです。カクヨムの中でも良質な宇宙SFを書いていらっしゃる方が沢山いらっしゃいます、これからも応援させていただきます!
「ARIEL」作者の笹本先生ご自身、ホリエモンとロケット打ち上げを計画したほどの根っからの宇宙好きの方です。コメディ色強めですが、設定と愛はガチですよ! みなさんも退屈な日々に飽きたら、SFを読んで星空を見上げようぜ!
③あなたのリアル本棚(電子書籍も可)にある愛読書を教えてください(最大3冊まで、敬称略)。
ⅰ)「ライ麦畑でつかまえて」 J・D・サリンジャー / 野崎孝(訳)
もはや説明不要の青春小説。解釈は読者によって本当に異なりますが、私は同調圧力に押しつぶされそうになった時にはいつもこの小説を読み返します。
1950年代中ごろににアメリカで興った「ビート・ジェネレージョン」。アレン・ギンズバーグ、バロウズ、ケルアック…ボブ・ディランやジョン・レノンらにも影響を与えたこの思想はその功罪はともかく、社会のレールから外れたアウトサイダーたちに勇気を与えたものであるというのは間違いのないところだと思います。そして私にとって「ライ麦畑でつかまえて」の主人公であるホールデン・コールフィールドは、なんだかうまくいかないなと思っている自分に、実は俺もそうなんだよ、と足元の草をいじりながら笑ってくれる、ちょっとイカレた、けれどイカシた友人なのです。村上春樹先生の和訳も話題になりましたが、自分はきっと読まないと思います。青春は一度きり、後戻りすることも比べることも必要ないのですから…
「ライ麦」いつまでも大好きです。すべての
ⅱ)「三国志」 吉川英治
歴史小説も好きです。今でもよく読み返すのは、司馬遼太郎先生の「新選組血風録・興亡録」、児島襄先生の「第二次世界大戦 ヒトラーの戦い」そして吉川英治先生の「三国志」です。「三国志」のどこに面白さを見出すかは人それぞれですが、私はやはり自分だけの推しキャラが出来るところかなと思っています。このあたり、多分にゲーム感覚ですね…歴史小説の面白いところは、その人物が行ってきた活動履歴を通して「生きざま」が見えてくるところであり、自分の倫理観・価値観・あるいは正義観に合致する人物がいれば、そこには当然「推し」の感情が現れてきます。必ずしも正々堂々とした人物を好きになる必要はなく、小狡く立ち回りながらも最後に生き残ったやつが勝利者だ、という考え方ももちろんありでしょうし、そういう人間臭さが時として多分に魅力的に映るものでもあります。だから私としては、史実と絡めた人間ドラマが良く描けている作品が好みになります。
ここで注意が必要なのは、当たり前ですが歴史小説は史料ではなくあくまで小説であり、いわば史実をもとにした二次創作だという事です。だから、あら捜しをしたり史実と異なるからといって目くじらを立てるのは野暮というもの・むしろそういったことを楽しむ余裕が欲しいものです。二次創作でありますので、作者によって同じ三国志でもテイストがかなり異なるのも魅力だと思っています。吉川英治先生の三国志はやはり何と言っても読みやすく、日本人好みの判官びいき的な展開(劉備がやはり人気)でもありますので、ベタですが初心者が入るならまずはここからかなと。北方謙三先生の三国志もワイルドで好きですが、すこしジェンダー的な偏りがあったりするので、そこは好みが別れるところでしょうか(訓練なのに兵士がごろごろと死んで脱落していく様は、トレーニングで血反吐を吐くのが大好きな自分には大変好み)。三国志、楽しいですよ!
ⅲ)「雨夜の月」 くずしろ
今回は、この本を一番紹介したかったのかもしれない。
私はカクヨムではどのようなイメージなのでしょうか? 百合好き! まったくその通りなのですが、実は私が百合に触れたのはまだ2年にも満たないのです。しかも百合小説についてはそれまで一つも読んだことがなく、私の百合はコミックから始まりました。そしてくずしろ先生の「雨夜の月」は小説ではなくコミックですが、百合としても一級品でありながら、すべてのマイノリティに対する応援歌となっているのです。
ダブル主人公(かな?)の設定がまず秀逸、自分がセクシャルマイノリティであることを隠しながらも相手への思いやりに溢れた女子高生と、感音性難聴が原因で他者との間に壁を築いているもう一人の女子高生の二人がメインの物語。こう書くと「障害者を題材にした感動ストーリーか」と誤解されそうですが、決してそうではなく「普通とは何か」「平等と公平の違いは何か」「自分の殻を作っているものは何か」といったことについて、自分が少数派であることに苦しんでいる人々、あるいは自分が多数派であると思い込んでいる人々(つまりは全ての人々という事ですが)に問いかけるものとなっています。「ライ麦~」でもそうでしたが、自分はどうやらこの辺に関心を持たずにはいられないようです。身近に聴覚障害の方がいることに着想を得たという本作、その医学的正確性については驚くほどです。もちろん百合のキュン度も最高、片思い的な進行から徐々に両思いになり始めている現在、本当に目が離せません(これを書いている時点では、完結済みではなく連載中です。追いつくチャンス!)。
作者のくずしろ先生は現在なんと4本の漫画を同時に連載されています。聴覚障害を織り込んだ本作のほかに、未亡人と義理の妹との微妙な関係性を描いた「兄の嫁と暮らしています。」、プロ将棋界における女同志のプライドのぶつかり合いが迫力の「永世乙女の戦い方」、商業デビューしたての女流漫画家と出版社の担当女史を中心としたコメディー創作業界コミック「笑顔の絶えない職場です。」など、あまりに幅広すぎるモチーフに驚嘆するしかありません。しかもそのどれもがものすごい完成度と面白さ…天才…小説でいえば一人で現代ドラマと恋愛と歴史小説とエッセイを書いているようなものかと、まさしく現代のレオナルド・ダ・ヴィンチです。特に最後に挙げた「笑顔の絶えない職場です。」は、漫画だけでなく小説で商業デビューを目指す作家さんやデビューした後の作家さんたちには、業界の内実を知ることが出来てとても面白く読めるのではないかと。
ガチ長文になりました…コミックが苦手でなければ、百合関係なく絶対に読んで下さ~い!
以上、好きだった書籍・現在好きな書籍でした! あまりにサブカルな、あるいは大衆的なチョイスで自分でもびっくり… 純文学や哲学書なんかどこ行った? 芥川は、春樹は、ディケンズは、モームは、ニーチェは? いや、なんかすごく申し訳ないのですが、これが自分なのです…
④ あなたがカクヨムで書いている作品を今読んで欲しい順に最大3作品教えてください。
大変僭越ですが…
ⅰ)「ラジオの向こう」 https://kakuyomu.jp/works/16818023213006517649
コミカルでちょっぴりビターな学園恋愛長編です。今年の3月に完結しましたが、学園小説はもうしばらく書かなくてもいいかな、と思うくらいに自分の欲しかった青春像を詰め込みました! この一作を読んでいただければ、私がどのような思想の持ち主かが全てわかります。正直「この作品を世に問いたくてカクヨムの世界に来た」まであります… あ、カクヨムコン10にこっそり参加させる予定ですので、もしもご評価いただけるのであればその時に…(ボソッ) 完結済みを参加させるのはどうなのよ、というご意見もありましょうが、ワンチャン運営様の目にとまるかもしれないですしね… 今でも何度も読み返します、とても大切な小説です。13万字なんてあっという間ですよ、どうぞよしなに!
ⅱ)「真夏のヴァンパイア」 https://kakuyomu.jp/works/16818093081905874587
今年の初めからカクヨムに投稿し始めた私を大きく鍛え上げてくれたものが2つ。3日ごとに変わるお題についての小説を次々に書き上げていく「KAC2024」と、犀川よう様の自主企画「さいかわ卯月・葉月賞、エッセイを書きま賞2024」がそれです。後者については参加される作家様方のレベルがとにかく高く、並みいる強豪に交じって戦うには自分の得意と好きを磨き上げるしかない!と考えてガチ勝負させて頂いたのが、この「真夏のヴァンパイア」。百合小説はいくつも書きましたが、それまでのエモさ一辺倒の勝負だけでなく、ロードバイク+ポルフィリン症という自分の武器を使用したプロットがうまくはまった納得のいく作品でした。自分の作品の登場人物は全員大好きですが、特にこの作品の2人はスピンオフまで書いてしまうほどの入れ込みっぷりでした。こうした結果として最終選考に残していただくことが出来て、私の夏は完全燃焼でした。爽やかな読後感がご好評をいただいています、是非!
ⅲ)「スターシップ・クルーザー スサノオ」
https://kakuyomu.jp/works/16818093073688675273
上記「KAC2024」において、「はなさないで」というお題をもとに書いたSF。「ARIEL」の項でも書きましたが、宇宙を舞台としたSFが大好きなのが高じて、まったくのノープランから3日で書き上げました。私お得意の「コミカルだけどちょっぴりビター」な作品ですが、とにかく夢中になって楽しく書けたことを覚えています。設定、主人公と女性パイロットの会話、宙間の戦闘描写、広大な宇宙に特有の切なさ・寂しさなどなど自分の好きが全部盛りで、我ながら良く3日でこれを…好きってすごい…と今更ながらに思います。続編・あるいはスピンオフを書くとしたら、今の筆頭はこいつです。
以上、宣伝でした。よろしくどうぞ~。
⑤あなたが書く、読む以外で好きなこと、最近ハマっている事を教えてください(最大3つまで)。
ⅰ)ランニング
集団スポーツや集団行動が全くダメな私が、唯一続いている運動です。現在は趣味で月間300~400km程度の距離をぽつぽつと走っているだけですが、過去にはフルマラソンで2時間39分というベストを持っています。この記録は、市民ランナーとしてはなかなかのものだと思っています。音楽を聞きながらジョギングしていると、アイデアが出てくること多数(事故に注意)。リフレッシュにも健康維持にも良い、おすすめですよ!
ⅱ)音楽を聴く
書物と同様、その人が聞いている音楽を知ればそいつのすべてがわかる! かもしれません…私は本当に雑食ですが、特に洋楽系のポップス・ロック・ヘヴィメタルが多いかな。エルトン・ジョン、デビッド・ボウイ、クイーン、ビリージョエル、U2、ジューダスプリースト、ガンズ&ローゼズ…まあ時代ですね。あ、忘れてはならないのがアニソン。逆にクラシックとジャズはほとんど知識がありません。ピアノやギターなど楽器を弾ける方には尊敬しかありませんが、小説と違って気軽に手を出せるものではなさそうだしなぁ…しかし聴き専でも、幸せには変わりない!
ⅲ)ゲーム
大学生まではパソコン・ファミコン・プレステ・サターン・メガドラ・アーケードゲーム(ゲーセンですね)と、あらゆるビデオゲームを網羅してきました! …が、現在はカクヨムにそのほとんどの時間を奪われています。唯一続いているのは「艦隊これくしょん」というブラウザゲーム(これはもう9年目になるかな…)ですが、これに関してはガチ勢・全甲提督でランカー常連です、「名探偵コナン」の青山先生と同類です(わからない方、申し訳ありません…)。今後はよほど面白いゲームが出ないとのめり込みそうにはないかなぁ…あ、TRPGはとてもやりたい! これって老後にとても良い趣味のような気がするのですが、どうでしょうかね?
以上、好きなものの紹介を兼ねた自己紹介でした! 最後までお付き合いいただき、対戦ありでした! 自己紹介なのに6000字を越えていて笑う……
書いていて最高に楽しかったです。碧月葉様、素敵な企画をありがとうございました!
わたしを通り過ぎて行った作品たち 諏訪野 滋 @suwano_s
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