横顔にも似て

 月が満ちるように 想いは膨らんでいったのです。


 月が欠けるように 想いを手放すしかなかったのです。


 月に還った姫は 月へと想いを持っていけなかったのですから。


 帝だけが 最後まで姫を想っていたと、

 おきなおうなは知っております。


 満月には 姫のかなしみを

 新月には 姫のかなしみを


 思い出すから、

 まともに月は見られないと

 帝がつぶやかれたことを 

 姫は露とも知らず 月で暮らしていることでしょう。












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こひ文 結音(Yuine) @midsummer-violet

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