紙一重の仄暗さが放つ耽美の輝き


水晶の森に棲む宝石獣という不思議な生き物。
美しさと恐ろしさの背中合わせ。その紙一重に物語の醍醐味があります。

人間の欲望と精霊の力――宝石に宿る耽美の中に罪という仄暗い色彩を内包し、上質な対比バランスを可能とする意匠を凝らしたストーリー。

特異的なルビも幻想的かつ感覚的な空間に広がりを持たせ、効果的な演出を果たせている点で物語を深く味わえることでしょう。

メリハリの効いた起承転結に支えられた文体も魅力的。短編のファンタジーなら是非ともおすすめしたい一作です。

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