エピローグ

 ここはどこ──。

 わたしは閉じ込められている。

 とても寒くて暗い。

 遠くから足音。

 コツコツコツコツ。

 階段を下りる音。

 コツコツコツコツ。

 二つの足音。

 明るい光。

 まぶしい。

 人の声。

 男の人と、女の人。

 目の前には鉄格子。

 鉄格子の向こう側に男の人と女の人。


『小説がかなり売れてらっしゃるようで、そろそろお体の方の、移植手術の準備をしてもよさそうですね』

『いえいえ、まだまだですわ。先生の代金はお高いから。とはいえ〈あれ〉の肌が綺麗なうちに、やってしまいたいのが正直な気持ちなのです。何とかお安くしてもらえないかしら』

『これは手厳しい。お嬢様に通常料金でご案内するわけないじゃありませんか。これでも十分、特別価格なのですよ──』

 

 鉄格子の向こう側の男の人と女の人。

 二人とも見たことある。

 女の人の顔──見たことある。

 女の人の顔は、私──。

 男の人の顔も見たことある。

 男の人は──お父さんの車を運転していた、運転手さん──。

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闇に棲むモノ ほのぼの太郎 @honobonotaro

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