美しく見えるもの。それは果たして善か悪か。

 耽美的な雰囲気がある、ダークな怪奇小説です。

 ある場所で、女の死体を発見する。その死体からはなぜか美しい宝石が溢れだしているのを発見する。

 このような『女性の死体』+『ちりばめられた宝石』というと、夢野久作『死後の恋』を思い出す方も少なくはないでしょう。
 そのような耽美な形で命を落とした女性の遺体と遭遇し、主人公は何を見るのか。

 その先の展開は、「おおう!」とつい声が漏れるようなものでした。
 怪奇小説的な面白さがふんだんに味わえる、不穏な雰囲気に満ちた作品です。

 最後の最後にやってくるオチも、ちょっと心の中で「いえいえ!」とツッコミを入れたくなるブラックなユーモアが感じられます。短い中で色々な感興が味わえる一作でした。