追憶

昼川 伊澄

追憶

都合がいい

思ったこともないきれいな言葉が

あふれそうになる


演劇のように泣き崩れる

いまにも

四足歩行に成り下がりそうな老婆の背の曲線


勝ち逃げだ

天災のごとく無差別に降り注ぐ

約束された

人間の最期


大切にため込んできた漆黒

掻きむしるような騒音

ただ同時に、柔らかな期待がある


何かが大きく欠損している自覚は

大きな支柱だ


だって


やめなよ、と

小さい私が裾を掴む


私は

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追憶 昼川 伊澄 @Spring___03

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