悪役令嬢は、独りじゃない。

@moto_furei

第1話

私は、





私の輝きが無くなってゆくのが、怖い。





あの頃はなりたい自分に簡単に成れたのに。





そうよ。想い描けば、簡単に。





いつからか、思い通りにいかなくなったの。





わたしは、





私の思い通りに世界を動かせたはずなのに。





いつだって





いつだって





わたしは私に惚れていたのに。





もう、根が腐ってしまったんだわ。





輝きはくすんで、誰も欲しがらないの。羨まないの。





そんなモノ、いらない。





私は魅力的なモノが好きよ。





私だけが通じ合える美しさを、ずっと持っていたいの。大切に。





それが人を惹きつけるの。





すると私自身が宝石になるの。





欲しがる人に照らされて輝いて、でもね、その宝石は意思を持っているの。





気に入った人に所有されないと、美しく輝かないの。





まるでこの地球上で一番深い海の底から拾い上げてきた、音も光もすべて吸い込んでしまうようなつまらない石ころになって





その持ち主を呪い殺してしまうのよ。

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