第3話 悪魔
「ご無事で本当に良かった!!」
「!レイド。」
そこにいたのはお父さんの側近のレイドだった。
「…魔王様のことはとても残念に思っ」
「…御託はいい。本心を話して」
「!!!」
レイドの言葉を遮り、私は言った。
…お父さんを気にかけている「ふり」が酷くしゃくに触った。
「お前もお父さんを見捨てたくせに。」
「…返す言葉もありませ」
「だから、その気持ちの悪いふりをやめろ」
私はそう吐き捨てる。
「…さすがは化け物の子だけはある。」
ニイッと気色の悪い笑みを作ったレイドが。
「俺達のために」
私は。
「死んでくれ!!」
「フフッ、死ぬのは」
口元に笑みを作って。
「お前だろ?」
そう言って嗤った。
「は?ッぎゃあああああアァ!!!?」
その腕を勢いよくもぎ取ってやった。
「ッアハハハハハハッ!!」
嗤った。嗤った嗤った嗤った。
「化け、物ォ゙…めぇ゙」
とても気分が良い。
「殺すッ!テメェの父みたいに殺」
「今なんて言った?」
「ぎゃあああアァあ!!!」
今度は足をもぎ取った。
「死にたいの?早死にしたくてわざと煽ってるの?」
「ギャウう……」
ゴリゴリと足をすり潰すように足で踏み潰した。
「あんまここで時間かけらんないしもう死んでいいよ、お前。」
「嫌だっ!何でお前が俺をッ!!」
手を振り下ろし。
「た、助け」
「地獄で天国にいるお父さんに詫びろ。」
ズバッ!と首を断ち切った。
ザアアッと雨が降ってくる。
「…やっと一つ。やっとだよ、お父さん。」
その胸に刻み込むように。
復讐の刃を胸に刻んで。
「アハハハっ」
嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う。
雨音に混じって不気味な嗤い声が夜の闇に響いた。
その場にある匂いは。
雨と 血と 鉄の匂い。
゜ ゜ ゜
その後、ある村人がそこに訪れたときの光景は、恐怖に満ちた表情の死体と。
おびただしい血の臭いと。
雨上がりの匂いだった。
その死体にははっきりと背中に文字が刻まれていた。
ある思いだけを刻み込んだ。
ただただ、純粋に。
激情の二文字を。
『復讐』
背中にはその文字が刻まれていた。
それは新聞の一面を大きく賑わせ、それは復讐対象の耳にも届いた。
『……ぐ、偶然だ…』
ガタガタ震えた人物は
『たっ、ただの偶然だろ!?』
『そうだ、そうに違いない…』
自分を安心させた後、また仕事に励んだ。
…迫りくる復讐の魔の手が、すぐ側に這い寄って来てるのにも気づかずに。
゜ ゜ ゜
「待っててね?グッス?」
その魔の者は、ただ静かに。
その口に心底たまらないという嗤いを浮かべ
「次はお前が」
その目に復讐の色をたたえながら。
「地獄に落ちる番だ♪」
ただ嗤って。
時の流れを楽しむ人影が。
…まるで悪魔のようだった。
魔王の娘の軌跡 @iria50
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