第3話 **へ参ります。

 視線はすぐに消えた。なんだったんだ今のは、とりあえずラブコメ主人公様達を追いますか。7メートル位先に気配があるし急ぐか。


 着いたが、ピザとかスパゲッティとかなんかイタリア〜ンな感じのレストランやな。


「ッ!!










 ...めっちゃいい匂いするやん!!」


 入ろ♪


「いらっしゃいませ〜。何名様でしょうか?」


「1人です。あちらの席に座ってもよろしいでしょうか?」


「構いませんよ。1名様ご案内でーす!」


 一ノ瀬と目が合ったが気付いていないようだ。まぁ、普通の人が気付くわけないよな。気配を消すのを応用して、自分とは全く違う人の気配を模倣し、歩き方から細かな癖まで全くの別人に成りすましているからな。気になったとしても、「誰かに似てるなー」程度にしか思わんだろう。まぁ、俺に対して《強烈》な想いを抱いているのなら別だけどな。


 そして、堂々と主人公様とハーレムの隣の席に陣取る。さぁ、盗み聞きの時間だ!!ゲヘヘ俺が隣にいるとも知らずにイチャイチャしやがって喰らいやがれぇー!!ギャリック〇ー!!


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 Side:一ノ瀬 冬華

 お、落ち着きなさい私

 一度状況を整理しましょう。学校が午前中に終わって遊びに行くことになり、ショッピングセンターに来て、最初にお昼から済ませるということになり、ここに来た訳だけど...

 なっ、なんで、ここにアイツが護導 灯が居るのよ!!しかも!なに食わぬ顔で!他のみんなは気付いていないってぽいし!一体全体どういうことなのよ!!


「...ん...のせさん...一ノ瀬さん!」


「なっ何かしら?」


「大丈夫?体調悪いなら無理しなくてもいいんだよ?」


「い、いえ、少しボーッとしていただけよ」


「冬華ちゃんがボーッとしているの珍しいね」


「本当ですよ!気持ち悪いなら無理しないでくださいね!冬華先輩!キツイなら灯先輩をタクシー代わりにでもして迎えに来てもらえばいいんですよ!」


「ちょっ!陽向ちゃん!」


 隣をチラッと見ると、凄い形相で陽向ちゃんを睨んでいる護導 灯が居るわ。でも、私以外本当にアイツの存在に気付いていないのかしら?


「すみません。騒がしいですよね。」


 大工廻君がアイツにそう言うが、アイツはなんてことないように


「お気になさらず。」


 とかほざいている。皆が謝るので一応私も謝っとくけど、ものすごい癪に触るわね。え!?でもちょっと待って!皆アイツのことを認識している!?でも、完全に他人行儀よね?一体どういうことなの?人がいることを認識はしているのに、アイツだとは認識していないということ?本当に意味がわからないわ。


「あ、一ノ瀬さんは注文どうする?」


「あっ、あぁ、えぇっと、どうしようかしら」


 アイツが店員さんに注文しているのが聞こえてくる


「マルゲリータを3枚お願いします。」


「かしこまりました。マルゲリータ3枚ですね。お兄さんお1人で3枚召しあがるのですか?」


「はい。これでも私結構食べるほうなんですよ。」


 なんて、談笑しているわ。というより1人で3枚って多すぎじゃない?


「そうね、大工廻君。私はナポリタンにするわ。」


「おっけー。すみませーん。注文お願いしまーす。」


 それから他愛もない話をしながらお昼を楽しんだけど、なんかアイツのせいで気疲れしたわ。明日会ったら、文句の1つくらい言ってもいいわよね?


「なんか、冬華ちゃん楽しそうにしてるね!」


「そうかしら?」


「そうですよ!冬華先輩なんか幸せそうな顔してますよ!」


 ふふっ、護導 灯。明日会うのを楽しみにしていなさい。




 これが護導 灯ではなく別の人なら、彼女は

ここまで動揺しなかっただろう。

 何故、動揺したのか?

 何故、楽しげな表情を浮かべているのか?

 そもそも《何故》彼に気付けたのか?


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 Side:護導 灯

 いやー、美味かったな!!

 やっぱ、川崎が選んだ店は当たりしかないなー!そういえば、次は本屋に寄るって行ってたな。先回りしておくか。


 エレベーター乗り場まで来ました。確か7階だよな。という訳で、上に参ります!!


 チーンッ 「ドアが開きます」


「ッ!」


 肌が粟立つような感覚を覚えた。この気配間違いない。


「さっきの視線の主か」


 ドアが開ききった先の光景は、明るいショッピングモールなんかじゃなかった。目の前にはアスファルトの道路に高層ビル群。その時点で可笑しいが、もっと可笑しいことがある。空の色が青色ではなく、色んな絵の具を混ぜたかのような暗い色。そして強烈な異臭。


「ハハッ。ちゃんと戻れるんだろーなー?」


 こいつの正体が何なのかは一瞬で分かった。

 怪異No.06「異界エレベーター」


 真の怪異っていうのは、こちらから行くものじゃねぇ。怪異の方から普通はなんの前触れもなくやって来るもんだ。

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ラブコメ主人公VSオカルト主人公 〜親友は美少女ハーレム、俺は化け物ハーレム構築してます。(ケッ...ウラヤマ)〜 @Akhn496

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