第2話 嫌な予感

 俺は今、何故か正座して美少女達に四方を囲まれ睨まれている。耀と舞華は離れたところから覗き見ている。空気が重いのでとりあえず、


「そんなに睨まれると、新たな扉開いちゃうゾ♡」


 反応がない。それより一段と空気が冷たくなる。

 何故だ解せぬ。


「あのぉ、これは一体どのような状況なのでしょうか?」


 純粋な疑問をぶつけると


「護導君が言うの?それ」


「灯先輩が一番よく分かってるんじゃないですか」


「馬鹿なの貴方?いいえ、馬鹿だったわね」


「Es ist Ihre Schuld, nicht wahr, Mr. Akari?|(灯さん、貴方のせいですよね?)」


 四人から同時に言われる。謝るしかない。


「はい、私のせいでございます。」


 何故このような状況になっているかというと、そこには深い訳があるのだ。


「貴方、反省してないでしょ。」


 何故バレた。「一ノ瀬、お前。俺の事好きなのかってレベルで読心してくるじゃん。」なんて言ったら殺られるから黙っとく。

 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 かれこれ数時間前に遡る


 午前中で学校が終わったので、この後どうしようか悩んでいたら耀に声を掛けられる。


「灯、僕達とどっか遊びに行かない?」


「んー?いいぞー、どこに行くk...すぅー(息を吸う音)ごめん、やっぱ用事あったわ。すまん」


 だって、ヒロインズの「今日は私たちだけで遊ばせろ」っていう想いがヒシヒシ伝わってくし、凄い「ありがとう」って顔してるし、しゃーなしよね。


「謝らなくていいよ。じゃあ僕達だけで遊んでくるね。」


「おう!楽しんでこい。また明日な」


「それじゃ、また明日」


「護導君、また明日!」


「灯先輩、バイバーイ!」


「またいつか会いましょ」


 手を振りながら見送る。ん?またいつか?一ノ瀬、あいつ絶対俺の事嫌いだろ。耀の時とは対応正反対やんけ。まぁ、別にいいけど


「バカ正直に帰るとでも思ったか!?バーカ、バーカ!尾行するに決まってるだろ!!」


 制服カバンに突っ込んで、代わりに忍ばせてる私服に着替えてから、舞華に「ラブコメ主人公とハーレムを尾行すため、帰りが遅くなると予想される。」と連絡を入れて、レッツゴー!

 あ、返信来た。なになに「帰ったら詳細を伝えるべし」




 それに、嫌な予感がするんだわ

 もう、何も失わないために万全を期す


 さて、尾行してきたけど目的地に着いたね。

 やっぱりというか、まぁ、ここしかないよねって感じだわ。学校の近くにあるいっちゃんデカイショッピングセンター


「耀先輩、陽向お腹すいたのでお昼ご飯食べませんか?」


「そうだね。僕もお腹すいてきたし、2人もそれでいいかな?」


「うん、いいよー」


「異論ないわ」


 ふむふむ、お昼から食べるらしい。俺もちょうど腹が減ってきたからありがたいな。褒めてやろう陽向!


「私美味しい所知ってるよー!」


「夢が美味しいって言うなら間違いないだろうね。」


 おぉっと、ここで耀選手ぅ!川崎選手に微笑みかけたぁ!川崎選手に強烈な一撃が決まったァ!!


「えへへ///いつか、耀君とデートに来る時のために調べてたんだ(ボソッ)」


「ん?何か言ったかな」


「いっ、いやっ、なんでもないよ!」


 ここで、耀選手のパッシブスキル難聴が発動したー


「むぅ、ズルいです。夢先輩!」


「ねぇ。耀君、私一人で食べ切れるか分からないから貴方が少し食べてくれない?」


「もちろん。いいよ」


「あー!冬華先輩もズルいですぅー!」


 アイツら何か会話をしているようだが、俺の耳には入っていなかった。何故なら、誰かに見られていたからだ。それだけで会話が耳に入らなくなるなんておかしいと言われるかもしれないが、俺の場合は今この状況で見られるなんて異常でしかないのだ。何故なら、気配を完全に殺し前を通り過ぎても気付かれない位の隠密をしているからだ。だからこそ、尾行をしているのにこんなに気楽なのだ。それに、感じた視線はこの建物全体から感じた。それこそ、床や天井からも...これが嫌な予感の状態なのか?





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