第1話 平和な朝

「ふぅ...とりあえず朝の鍛錬は終わりだな」


 現在、朝の6時を少し過ぎたところ。諸々の日課を終えて汗を流しているところだ。今から、朝ごはん食べて、制服に着替えて、確か英単語の小テストがあるから、改めて範囲の復習をして学校に行くか。頭の中で計画を軽く立ててると脱衣所に誰か入って来る気配がする。


「お兄ちゃ〜ん、朝ごはんまだ〜〜?」


話しかけてきたのは、俺の妹の「護導 舞華(ごどう まいか)」だ。


「はいよ、もう上がるから待ってろ」


ちなみに、舞華は俺の一つ下の高校一年生であり、身内贔屓を抜きにしても超絶美少女だ。決してシスコンではないので悪しからず。


「は〜や〜く〜、お腹空いた〜」


制服を纏い、昨日の残り物を皿に盛り付けて食卓に持っていく。


「そういえば舞華、親父と母さんは?」


「なんか急ぎの仕事が入ったからって朝早くから職場に行きよったよ」


「ほ〜ん」


そう言いつつ、舞華の方に目を向けると


「おい、なんちゅー格好してんねん」


そう、裸なのだ。HA☆DA☆KA


「もしかして、私に発情しちゃった?」


「しねぇーよ。実妹に発情する訳ないだろ。」


「( ´・ω・`)」


「なんで残念そうなんだよ。はぁ...とりま、お前の準備終わったら行くから」


舞華がズビッと敬礼し「あいあいさー」と言いながら朝ご飯をかきこんでくのを尻目に単語帳に目を通す。


1時間経ったくらいで舞華の準備が出来たみたいだ。


「行くか」


舞華を連れ立って玄関を出て学校に向かう。その間、他愛もない会話をしていると到着目前のところで我が親友とそれを囲むように陣取る3人の美少女達


「よぉ、朝から乳繰り合ってんねー」


「おはよーごさいます!先輩方、茜ちゃん!」


「おはよう、2人とも。灯、僕達は別に乳繰り合ってる訳じゃないからね」


流石鈍感系ラブコメ主人公様。この状況でイチャついてないと言うとは、次に美少女達の反応を見てみると。


「いやっ、別にっ、そんなつもりじゃっ///」


こーゆーのだよ!いい反応をするじゃないか!


「おっはよー!ふたりとも!!」


元気があってよろしい!


「おはようございます。護導君、舞華ちゃん」


oh......俺だけなんか睨まれた。ゾクゾクしちゃうわ。イヤン(/ω\*)


 という訳で順番に紹介しよう。

テンパってるやつが耀の幼馴染みの「川崎 夢(かわさき ゆめ)」で天然あざとな美少女。ちなみにデカイ、ナニがとは言わんが...デカッ


うっさいのが後輩で舞華の友達の「相澤 陽向(あいざわ ひなた)」でTheスポーツ美少女。まぁ、刺さる人には刺さるだろう...ガンバ


クールで圧倒される気配を放つのは「一ノ瀬 冬華(いちのせ とうか)」で何考えてるのか分かりはするけど怖いが普通に美少女。文句の付け所ないよねヒッ!睨まれた...グスン


「とまぁ、我が親友はハーレムを着々と構築してるのですよ。」


「灯先輩、誰に向かって話してるんですか?

正直キモイですよ。疲れてるなら陽向が話聞きますよ。よしよし」


「ぐあぁぁ!撫でるなッ!お前の陽キャオーラで浄化されるぅぅぅ!!」


「酷い!陽向は灯先輩を思ってやっただけなのに、酷いと思いませんか!?冬華先輩!」


「大丈夫よ。あんな変態に貴方の優しさを上げる必要は無いわ」


「グハッ!やるじゃねぇか、一ノ瀬...でも俺にも仲間はいる!そうだよなぁ!?」


「「「「「.....」」」」」


おいおい、マジかよ!流石に耀は俺の味方だよな...?聞いてみるか


「親友!お前を親友だと思ってたのは俺だけなのか!?」


我が親友の目を熱い眼差しで見つめる

アッ...目、逸らされた...


「そ、それより、今日の英単語テストは大丈夫?僕は少し自信ないかな」


俺に仲間は居なかった。ガクッ...


「フフっ、ざまぁないわね。まぁ、私は問題ないわ」


燃え尽きた俺の耳には一ノ瀬の煽りすら聞こえてはこない


「ウッ、チョットジシンナイカナ」


ここで、俺の凄さをアピールするんダ!!


「もちろん!俺は「貴方はどうでもいいわ」」


アァ...マッシロニモエツキタヨ


「へぇ〜、今日テストあるんですね先輩達は」


「え?陽向ちゃん私達クラスもテストあるよ。古文単語だけど」


「え?」


( ゚д゚)ハッ! あれ、みんなはどこ行った?

あれ?これ?おいてかれたパティーン?

ヤバッ、HR開始のチャイム鳴ってーら

急ご...


 その瞬間、灯の雰囲気が馬鹿なものから鋭いものへとガラリと変わる。これを舞華以外の四人が見たら我が目を疑うのは間違いないだろう。


「疾ッ!」


 瞬きの合間に10メートル近い距離を移動する。堂々と超人的なことをしているが灯の力に気付いている人は身内を除いて誰一人として存在しない。今の行動も周囲に人が居ないことと遠くから見られていないこと確認済みである。

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