エピローグ
その裁判の、しばらく後。
私は朝から、自宅アパート前で待っている。何を待っているのかと言えば――
「おはようございます。美空」
あさぎの声でそうアナウンスする、自動運転のタクシーだ。オーダシティ社のグループ会社が運用しているものだ。
私が乗り込むと、タクシーは搭載しているAIの運転で発進した。私は、タクシーと通信しているあさぎに「じゃああさぎ。今朝の注目ニュースを表示して」と頼む。
あさぎがタクシーの中のモニターに表示したニュースは、専門学校講師として活躍する猶原さんを取り上げたもの、世界初の人間として雇用されるAGIとしてのあさぎを取り上げたもの、それに他の大手IT企業もAGIを開発・雇用していると伝えるものだ。
それらを見た後、私は特に最後のニュースを受けて、
「私たちも、負けていられないね! まずはこの、自動運転のAIの改良プロジェクト、成功させようね!」
と、ガッツポーズしながら意気込んだ。あさぎも、「はい! 私たちならきっとできます!」と、ガッツポーズとともに意気込みを返す。
そして私を乗せた自動運転タクシーは、オーダシティ社に向かって走り続けた。
損害賠償及びAI消去請求事件 大沢 朔夜 @oosawasakuya
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