第3話

 フローレンの両親の葬式は、ひっそりと、静かに行われた。

 しかし、いきなりの両親の事故死と、ルイの件が重なり、涙が枯れるほど泣き続けたフローレンにも唯一の救いができた。

 両親の遺言状だ。後から聞いた話だが、事故で致命傷を負い、フローレンと会う頃には死んでしまっていると考えた両親は、遺言状とフローレンへの手紙を残したという。


 『フローレンを、ベルナール家の跡継ぎとする』


 遺言状には、力強い、父の文字があった。


 『ずっとあなたには隠してきたのだけれど、実は私たち、気がついてしまったの。ルイさんが浮気をしていることに。だから、万が一のことを考えて、ベルナール家の跡継ぎはフローレン、あなたにするわ。権力も、家も、領地も、全てあなたのものよ。マルタン家と縁を切ったっていい。きっと、今は辛くて、苦しいでしょう。大丈夫よ。自由に、好きなように、生きなさい。』


 手紙には、優しくて滑らかな母の字が並んでいた。


 もしもこの葬式にルイが来ていたら、何かを変えられてしまっていたかもしれない。しかし、ルイはこのことをまだ知らない。


 『復讐』してやる。


 フローレンは心の中で、決意した。


 

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婚約者に浮気をされていたと知ったので、復讐を始めようと思います。 ハイエナ @haiena3355

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