思春期男子は話したい

ゆずリンゴ

思春期男子は話したい


あけひ「なぁ、今暇?」

(午後9:31)既読

hana「なに」

(午後9:35)既読

あけひ「相談したことがあって」

(午後9:36)既読

hana「そ」

(午後9:36)既読

あけひ「恋愛相談なんだけど」

(午後9:38)既読

hana「へぇ珍し」

(午後9時39)既読

あけひ「実は最近、彼女できて」

(午後9:40)既読

hana「へぇ」

(午後9:40)既読

hana「で?」

(午後9:42)既読

あけひ「ちなみに花は彼氏出来た?」

(午後9:43)既読

hana「どうだと思う?」

(午後9:45)既読

あさひ「スタンプ(わからねぇ)」

(午後9:46)既読

hana「っていうか相談は」

(午後9:47)既読

あさひ「ごめん嘘ついた」

(午後9:50)既読

hana「?」

(午後9:50)既読

あさひ「ほんとは彼女出来てない」

(午後9:51)既読

hana「そう」

(午後9:52)既読

あさひ「でも、相談はまじ」

(午後9:55)既読

hana「なに」

(午後9:55)既読

あさひ「長くなるから電話いい?」

(午後9:56)既読



『おはよ!』

『おやすみ。で、要件は』

『もうすぐさ卒業じゃん。だけど結局彼女出来なかったなぁって』

『そうすか』

『うん』

『ちなみに明日は告白はしたの?』

『してない』

『そりゃ出来るわけないわ』

『だって、告白って恥ずかしいじゃん』

『ダサー』

『いいじゃん!だって怖いんだもん!』

『ヘタレ』

『……俺だってできるならしたいよ!そんで自慢したい!』

『へぇ』

『俺だって男なんだよ!彼女の人数とか自慢してみたいの!』

『それって自慢になるの?』

『なる!』

『でも多いってことは振られた回数も多いって事じゃん』

『こっちが振った可能性だってあるし』

『明日には関係ないね』

『高校生になったら沢山彼女つくるし?』

『それ中2の時も言って無かった?』

『……まぁ、出会いが無かっただけだし』

『でた言い訳』

『言い訳して言い訳!?』

『……』

『ところで花って高校どこ行くんだっけ』

菊池きくち女子校』

『いいなー女子校、女子校なら俺でもモテるのに』

『そ、じゃあいっそ女の子になれば?』

『天才か!』

『そりゃどうも』

『ってか冬休みの課題やった?』

『やったも何も元々ないでしょ』

『あっ、そっか』

『はぁ……明日って昔からバカだよね』

『バカじゃねぇし!バカって言った方がバカだし?』

『あとガキだよね』

『でも身長はお前よりも高いぞ!』

『そういう話じゃないし……それに身長差もほぼないじゃん』

『俺はまだ伸びるんで』

『そーですか』

『でさ、彼女についてなんだけど』

『その話続いてたの?』

『うん、ワンチャン卒業式で告られるかな』

『無理でしょ』

『でも卒業式に第3ボタンを渡すのよくあるじゃん』

『漫画の読みすぎ。普通ないから』

『もしかしたら俺の事好きな後輩いるかもだし』

『どーでしょうね』

『でも、なんか寂しいな』

『ん?』

『なんかさぁ……もう中学卒業するって思うとなんか寂しい』

『それは分かるかも』

『結局彼女も出来なかったし』

『はいはい』

『高校生になってからもこんな風に話せんのかな?』

『まぁ、話せるんじゃない?』

『でもさぁ……花に彼氏できるかもしんないじゃん』

『なに、私が行くの女子校なんだけど?』

『いや、バイト先とかでなんかイケメンと仲良くなって……とか?』

『ないよ。それに明日と違って私は簡単に惚れないし』

『はぁ!?別に俺惚れやすくないし?』

『とか言って高校ですぐ恋人つくるんでしょ』

『いやどうせ出来ないし……やっぱ告白出来ないとだめだよなぁ』

『それこそLINEで告白とかすればいいじゃん。私の友達はイソスタのDMで彼氏に告白されたらしいし』

『んーそれならできると思うけどさぁ……なんか嫌って言うか。好きって気持ちはちゃんと言葉にしたいというか?』

『ふーん』

『いや、別にそういう方法がダメって訳じゃないけど……いやホントに全然いいと思う』

『いいんじゃない?少なくともそういうのは直接されたいよ』

『そう?いやぁでもなぁいっそネットで恋人つくるとかも……』

『バカ』

『なんでだよ!バカじゃねぇし!ネットで恋人くらいつくれるし』

『ふーん、いいじゃん。ネットで彼氏でもつくれば?』

『なんで!?俺女の子がいいって』

『じゃあ女の子のAI彼女?』

『俺はリアルがいい!』

『ネットでつくった恋人ってリアルなの?』

『え、まぁ……相手もリアルで生きてるし?逆にリアルじゃないの?』

『それに、ネット彼女じゃどうせ会う前に別れるよ』

『そんなこと!いや、それは……正直そうな気がする』

『それに、いざ会ってみたらネカマのおじさんかも』

『うわぁ……それは嫌だなぁ』

『まぁ、私もネットで付き合ってる人いるんだけど』

『え!?嘘?嘘だよね?』

『嘘じゃないよ』

『え……なんか凹む』

『ま、相手女の子だけどね』

『花って女の子好きだったの!?百合?』

『ちがうバカ!ネットの友達とミニキャラ同士で結婚したの』

『あ、そういうこと?』

『さっきの仕返し』

『え、さっきのって何?』

『バカ、アホ』

『えぇ……?あ、彼女できたって言ったやつか』

『そう』

『なんか……すみませんでした』

『特別に許す』

『ははは……でも実際に花に彼氏出来たらこんな風に電話もできなくなるのか』

『そうなの?』

『だってさぁ……彼氏いる相手に電話するのって人としていいの?』

『んーでもそれは分からないけど、明日より先に恋人はつくんないよ』

『え』

『私は明日と違って恋人に飢えてないからさ』

『別に俺だって飢えてないし?』

『飢えてなかったら今電話してないでしょ』

『それは……まぁ』

『っていうか何時まで電話するの』

『あー、もうやめる?』

『私はどっちでもいいけど……』

『え……うーん』

『焦れったいなぁ……じゃあもうきるから』

『え、じゃあまた学校で……』

『なに、次話すの冬休みのあとなの?』

『……じゃあまた今週中』

『明日』

『また明日』


明日「おやすみ」

(午前0:06)既読

hana「おやすみ」

(午前0:06)既読


fin


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思春期男子は話したい ゆずリンゴ @katuhimemisawa

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