逢はざれば 🩴

上月くるを

逢はざれば 🩴



初霜や通学バスの点滅灯

猿祀る杜の静けさ冬紅葉


吹き晴れをあづかり知らぬ百千鳥

さびしめばこゑも出さずに川千鳥


橋と橋つないでゐたる白鳥湖

足環した個体もをりぬ白鳥池


逢はざれば癖も忘れん都鳥

海はあを白がたのみの都鳥


ゆりかもめ治水神社の上空に

冬かもめ板子一枚漕ぎ出せり


叱られてさがる犬の尾枯やなぎ

飄々と枯れ尽くしたる大地かな


世のなかと障子一枚隔てたり

冬座敷女ごころのむかしあり


かみなづき血液型を訊かれゐる

わたしにも近未来あり冬あかね


核心に触れぬ話や神無月

隣席の大風呂敷や鮟鱇鍋


多すぎる手をもてあますずわい蟹

ざざ虫を食へと言へるは酷なりき




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