第7話:魔族、現る

雷鳴剣『イルミナ』の使い手、エンゼストとともに戦王:グリドスと戦い、戦神:ゴルゴンの助けはあったものの見事下克剣『スレイ』を手に入れた拓真はエンゼストとともに魔剣探しの旅をすることになったのだった。




「それでさぁタクマ、下克剣の持ち主はどっちにするんだ?」


「う~ん、しばらくは共同で使っていけばいいんじゃないか?お互い剣は持ってるわけだし・・・。」


「タクマは極滅剣と秘匿剣だっけ?」


「それと獣殺剣も持ってるな。それがどうかしたか?」


「なんというかな・・・。ずるいなぁ・・・と・・・。」


「ははは!ずるいか!ならまずはエンゼストの魔剣か聖剣を手に入れるところからだな!」


「いいのか!?」


「当たり前だろ?仲間の装備は整っていた方がいいわけだし。」


「仲間・・・か・・・。ありがとうな!」


「・・・?それで、エンゼストはどんな剣が欲しいんだ?」(一瞬答えが鈍ったな。何か嫌な思い出でもあるのか・・・?今度聞いてみようか・・・。)


「俺はなぁ、元素を操る魔剣か聖剣が欲しいな。雷鳴剣も雷の元素を操る魔剣だし・・・。」


「それなら・・・そうだな・・・。レリムズ渓谷の方に確か炎を操る聖剣、炎刃:ファルニアがあったはずだ。」


「炎か・・・!いいなぁそれ!ていうか、その情報どっから手に入れたんだ?」


「え!?・・・っとなぁ、まぁ色々あってその辺には詳しいんだ。」


「そうなのか・・・。まぁその辺は詮索しないでおくよ。」(今度じっくり話してみようかな・・・。)


「助かる・・・!機会があれば話すよ・・・。」


「おう!そうしてくれ!」


「それで・・・王域を出たのはいいが、このまま渓谷に直行するか?それとも野営か宿を探して一泊してからにしようか・・・。」


「俺は一泊したいな。先の戦いでマナもかなり消費したし・・・。」


「そうだったな。なら王都のギルドに寄ってもういいか?会いたい奴がいるんだ。」


「王都のギルドか・・・。初めて行くから少しわくわくするな。」


「おっ初めてかぁ。なら俺の会いたい奴と勝負してみるといい。きっといい特訓になる。」


「そりゃありがてぇや。いつかタクマともやり合ってみたいぜ。」


「じゃあそいつに完勝できたら戦ってやるよ。」


「よっしゃ!気合い入れていくぞぉ!!」




そうして歩いているうちに王都:ソラリスに帰ってきた拓真たちはそのままギルドに向かうのだった。




「タクマ様、お帰りなさいませ。どうなさいましたか?」


「エルメスはいるか?ちょっと会いたいんだ。」


「すぐにお呼びいたしますね。」




そう言って受付の女性はギルド二階の談笑スペースへ向かう。




「エルメス様、タクマ様がお見えです。エルメス様に会いたいと・・・。」


「タクマが帰ってきたんか!すぐ行くぜ!」




そうしてエルメスは下の階で待つ拓真たちの元へ向かう。




「よぉ!タクマ!一週間ぶりじゃねぇか!決着つけに来たのか・・・・って誰だそいつ・・・?」


「こいつはエンゼスト。俺の新しい仲間だ。今日はエンゼストにお前を会わせたくて来たんだ。」


「エンゼストだ。よろしく頼む。」


「お前が仲間を作るなんてな・・・。それで?用事はなんだ?」


「単刀直入に言う。エンゼストと勝負をしてくれ。」


「勝負か・・・。いいぜ?俺も増強剣でまともに戦える相手を探してたんだ。それで、お前の武器はなんだ?」


「雷鳴剣と一応下克剣もだ。」


「おいおい、十二魔剣を二本もかよ・・・。化け物じゃねぇか・・・?」


「大丈夫だ。お前ならいいところまで行けるはずだ。頑張れエルメス。」


「そうか?お前が言うなら大丈夫か・・・。」




そして三人は闘技場へ向かうのだった・・・




闘技場にて・・・




「ルールは前と同じ、なんでもありだ。魔術でも剣術でも拳闘でもなんでもあり。それでいいな?」


「「おう!!」」


「それじゃあ、始め!!」




拓真の掛け声とともに勝負が開始される。始まった瞬間、二人はほぼ同時に剣を召喚する。




「来い!俺の剣!増強剣『エンハンス』!!」


「いでよ!我が剣!雷鳴剣『イルミナ』!!」




一瞬早く召喚を終えたエルメスは剣を携え突進を開始する。




「お前の実力!見せてもら・・・・なに!?」


「『轟け・雷鳴の鉄槌』!!」




その刹那、エルメスのいる場所目掛けて幾千の稲妻が落ちる。だがエルメスは増強剣で増幅された身体能力でその全てを躱してみせる。




「へっ!当たらねぇぜ?お返しだ!一気に吹き飛べぇ!『ブレイズ・ショット』!!」




エルメスが放ったのは『ブレイズ・ショット』。広範囲に爆炎をまき散らす魔術だ。本来ならば喰らえば即死級の威力なのだが・・・




「はぁぁぁぁ!!」


「なに!?突っ切ってきやがった・・・!」


「これで・・・!終わりだぁぁぁ!!」




なんとエンゼストは雷で自らを守り、爆炎の中を突っ切ってきたのだ。これはエルメスにとって完全な予想外となり、不意打ちとなった。エンゼストは雷霆の如き横薙ぎを放つ。それは容赦なくエルメスを切り裂く・・・・はずだった。次の瞬間鳴ったのはガキィン!という重い金属音。




「へっ!受け止めてやったぜ?パワーだけは自慢なんだわ。」


「くっ!!」(まずいな、一旦引くか。)




エンゼストがバックステップを踏もうとした瞬間、突然空が闇に包まれる。それを見て拓真が声を上げた。




「二人とも!一旦中止だ!何かまずい。来るぞ!!」


「この勝負は持ち越しみたいだな。」


「しょうがねぇ。また今度、だな。」




その刹那、闇から異形の怪物が出現した。それは角と禍々しい羽の生えた人型の何かだった。それを一目見た拓真が恐る恐る声を出す。




「あれは・・・・。まさか・・・魔族・・・?」


「魔族だと!?魔都都の堺には結界があったはずだ!」


「いや、確かレリムズ渓谷方面には結界はない。そっちから来たか・・・。」


「タクマ!あいつ、こっちに来てるぞ・・・?」




エンゼストの震えた声を聞いて拓真は指示を飛ばす。




「ちぃ!エルメス!お前は周辺にいる人を避難させるんだ!あいつは俺とエンゼストでどうにかする・・・!」


「了解だ!死ぬなよ?」


「当たり前だ・・・!」


「エンゼスト、あいつは恐らく王格に近い魔族だ。下克剣が効果を発揮するはずだ。」


「お、おう、わかった。いでよ!我が剣!下克剣『スレイ』!!」




剣の召喚が終わったとほぼ同時、魔族が地に降り立つ。




「ようやく見つけたぞ。極滅剣を持つ人間よ。」


「んな!俺のこと知っているのか・・・?」


「ふん、そんなことは関係ないだろう?貴様を殺し、極滅剣を奪うまで・・・!」


「なら仕方ない、本気で相手してやるよ。エンゼスト、いけるか?」


「当たり前だ・・・!」




そしてここに猛者三人が向かい合う。ここから始まる戦いは、予想もできない展開になっていくのだった・・・・・

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ゲーム内で”ある意味最弱”の俺がゲームの世界に転生したら最強だった話 ロード @takumi0913

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