第6話:戦王と戦神
戦王:グリドス、拓真、エンゼスト。この三人が戦王の間で睨み合っていた。その目的は全員が下克剣『スレイ』だ。
「戦王!本気で来ないと俺たちには勝てないぞ・・・?」
「ふははは、貴様ら人間如きに本気など出すはずなかろう。貴様らこそ、本気で来なければ勝てんぞ・・・?」
「タクマ、どうすればいい・・・?」
「エンゼストはその雷鳴剣と魔術でで奴を翻弄してくれ。主な戦闘は俺がやる。この極滅剣があれば奴に勝てるはずだ。」
「わかった。お前の言う通りにしよう。」
その場の緊張感を切り裂くように機先を制したのはグリドスだった。グリドスは凄まじい踏み込みを見せる。その踏み込みはまるで地面が爆ぜたようだ。
「我が剣の錆になるがいい。人間!」
「エンゼスト!今だ!」
「おう!『唸れ・我が雷鳴』!!」
その瞬間、エンゼストの持つ雷鳴剣から凄まじい轟音とともにグリドス目掛けて稲妻が走る。その稲妻は正確無比にグリドスの心臓部を射抜く。
「ごあぁぁ!なかなかやるではないか・・・・・・と言うとでも?貴様らの魔術など、我の前には意味を成さんのだ。さぁ、潔く死ぬが・・・・!?」
「はぁぁ!!本命はこっちだ!」
「ほう!?極滅剣か!面白い!斬り合ってみようか!」
「おらぁぁぁ!!」
そこから始まったのはまさしく強者の斬り合い。ガシガシ、ギリギリと鈍い金切り音がその場に響く。その勝負は互角に見えた、しかし・・・・血しぶきが舞ったのは拓真のみ。
「くぅぅぅ!やっぱり一筋縄じゃ行かないよなぁ!でも、だからこそ面白い・・・!」
戦王:グリドスと戦っているのはかつてHP1でスリルを楽しんでいた生粋の戦闘狂、拓真だ。拓真は徐々にその戦闘を楽しみ始めていたのだ。
「戦闘狂か。いいだろう。ならば我が剣の秘奥を見せてくれるわ。」
「!?」(なんかやばいな。一旦引く・・・!)
拓真は瞬時に判断し、バックステップを踏む。
「下克剣『奥義之一:霧斬』・・・!」
グリドスがそう言い放ったと同時、周囲に深い霧が立ち込める。次に瞬間・・・
「ぐぁぁぁ!!・・・なんだ・・・!?」
「ごふぅぅぅ!ちっ!な、なんだ・・・?」
「ふはははは!我が秘奥の一つだ。我が剣技を霧に織り込み、それを周囲に散布する。喰らった者は想像を絶する苦痛を味わうだろう。・・・なに!?なぜ動ける・・・!」
次の刹那、深い霧の中から現れたのは、紛れもなく拓真とエンゼストだったのだ。
「残念だが、その理は滅させてもらったぜ?」
「極滅剣、すげぇなぁ!!!欲しくなっちまうぜ!」
「貴様らぁぁぁ!!」
「『極滅斬』!!」
「『雷鳴斬り』!!」
拓真とエンゼストが繰り出したのはその剣に秘められた奥義の一つだ。そんな二つの奥義がグリドスの身体を千に切り刻まんとする。
「ぐごぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「どうだ・・・?」
「やったか・・・!?」
バタリと音を立てて倒れるグリドス。だが、その目はまだ死んでいない。
「ぐ・・・うぅぅ。なかなかやりおる。我が秘奥を滅するとはな・・・。」
「まだやる気か・・・?」
「当たり前よ。なぜなら、勝敗を決めるのは我、戦王だ。貴様らになど負けていられん。」
『それは少し違うな、戦王。君は前座に過ぎないのだよ。私のね。』
「なんだ!?」
「一体誰だ・・・?この声は・・・!」
「ぐ・・・お・・・!まさか・・・!戦神:ゴルゴン・・・?」
『そうだ。私は戦神:ゴルゴン。全能神:ガイアス様より戦の職分を与えられし神だ。』
その瞬間、天から神々しい光が現れ、窓ガラスを突き破り戦王の間に侵入してくる。
「神に反旗を翻した愚かな王よ。お前に神の断罪を下しに来た。」
「戦神め・・・!貴様にはうんざりだ。この下克剣で切り捨ててやる。」
「人間。お前達にも用はあるが・・・。今日はグリドスだけだ。ここは任せてもらおうか。」
「それは都合がいい。そうしてくれ。」
拓真がそう言うとゴルゴンはグリドスを睨みつける。
「戦王、なぜ神を裏切った?我ら神は平穏を望んでいたはずだ。」
「それは貴様ら神が我の職分を奪うからだろう?」
「そうか・・・。自分に非があるとも知らず、残念だよ。戦王。」
そして二人が向き合う。グリドスは下克剣を抜き、ゴルゴンは魔術を放とうと左手を掲げる。
「はあぁぁぁ!死ねぇ!ゴルゴン!!」
グリドスは踏み込むがそれを眉一つ動かさず見届けるゴルゴン。
「ふふふ、ふはははは!戦王よ!どこまでも愚かなことよ・・・!『滅べ』」
「んな・・・!?ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」
その瞬間、戦王が轟音とともに爆散したのだった・・・。とても王格とは思えない最期だった。ゴルゴンが放ったのは神魔術『デストラクション』。滅びの魔術だ。
「あっけない最期だったな。戦王。さぁ人間。お前らの目的は下克剣か?」
「そうだが・・・とんでもない魔術を使うんだな神って・・・。」
拓真がそう言うとエンゼストが続く。
「神様?下克剣は消えたんじゃ・・・?」
「なぁに。下克剣の本当の持ち主は私でな。元々戦王に貸していてな。それを取り返すために来たのだよ。だが、お前たちのような勇気ある人間に持ってもらっていた方がよかろうぞ。この剣はお前たちに授けよう。」
「「いいのか!?」」
『あぁ。それでは私は失礼するよ。神は忙しいのだ。さらばだ勇気ある人間よ・・・!』
その時、ゴルゴンは再び神々しい光に包まれ、消えてゆくのだった。
「タクマ、俺たちはこれからどうしようか。」
「よかったら一緒に旅でもするか?魔剣探しの旅だ。どうだ?」
「いいな!それ!一緒に行こう!」
こうして、拓真とエンゼストはともに旅をすることになったのだった・・・
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