第5話 文殊くん

俺の会社にすげえ気持ち悪いやつがいるから書くわ。

そいつが中途で入社してきた日に同じ課のメンバーで近くの蕎麦屋にいったんだよね。

食事中にそいつ、なんかブツブツ言ってんだよね。

で店を出た途端、そいつ「こんな店よりもっと旨くて安いそば屋があるんですよ」とか

ドヤ顔を言うんだよ。

ちょっとそれは飯誘った人に失礼じゃない?と思ってむかついたが

「じゃあ、こんどそこ行こうな」って答えたんだよね。

そしたらその翌日の昼飯に「昨日話した店に行きましょう」とか言ってきた。

2日続けて蕎麦かよと思ったが、仕方なくそいつについていったんだ。

そしたらいきなり地下鉄の駅の中に入っていきやがるの。

おいおい、昼飯なのに電車で移動かよって思ったら、「ここですよ、ここ」って。

そいつが指差すのは、地下鉄駅内のトンコロ屋なんだよ。

正直、びっくりだよ。

こいつ頭おかしいのかとマジで思った。

あでも仕方ないから食券かって食ったけど、まあ普通だな。

あじさいとかよりましかもしれないが、うまい蕎麦屋として案内される店じゃないよな。

そもそも感染が危険ないトンコロ屋だしさ。

で、そいつしきりに「うまいでしょ、ここ」とか言ってくるのがまたうざいのよ。

そしたら、そいつその翌日もその翌々日も同じ課のメンバーをその立ち食い蕎麦屋に誘ったらしい。

そんなことがあったから、いまやそいつ、もう誰からも相手にされてなくて、いつも

昼飯時には、人に聞こえるような声で「さあああてと、おいしい蕎麦でも食べにいくかな、おいしい文殊にでもいくかな」とか言って一人で立ち食い蕎麦に出かけているんだよねwww

でそいついなくなると、みんなで「文殊くんは今日も文殊か、トンコロ屋か」とか大笑いしているんよねwww

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

そばシリーズ 干しそばくんと言われた男 @uhyo_ojisan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る