コーヒーとキャラメル

拉麺眼鏡

コーヒーとキャラメル

俺は一人、あるカフェの端っこの椅子で注文したキャラメルマキアートを

飲んでいた。友達とこの後ゲーセンに行くためにここで待ち合わせをしているのだ。

キャラメルマキアートは普通のコーヒーに比べ甘く、

一人で何か没頭して作業するときには丁度いいのかもしれない。

だが、今自分はスマホ以外何も持ってきておらず、

あいにく小説を書く能力などないのだ。


友達はまだ30分ぐらいしないと来ないし、かといってスマホをいじり続けていても

つまらない...そこで名案、いや迷案?が思いつく。

そうだ、頭の中でなんかストーリーを作ろう。そうすれば

こんな長い時間すぐに経つさ。と思い、頭の中で急に

想像を膨らませた...



『みんな、準備は良い?』


『いいわ!早めにやっちゃって!』


『派手に行きましょう!」

崩壊した建物が立ち並んでいる街中で、三人の女性が魔法のようなもので

空中を飛び交っていた。

女性たちの視線の先には騎士団のような軍勢が彼女らに目を向け

剣を構えている。


だが、相手にまったく抵抗できないように女性たちの中の一人が

その軍勢の中に向けて手をかざし、呪文を唱えた。

「ファイヤボンバー!」

それと同時に手からバランスボール大の火の玉が

騎士団へと向かい、着弾した途端爆発した。


彼女たちはヒーコ、アキマ、ルメラという魔法使いで、その魔法に長けた実力で

別の国から攻めてくる軍勢を撃退、殲滅していた。

ヒーコは唯一別世界から召喚されてきてまだ18歳という若さであり、その若さで

二人の実力を凌駕するほどの強力な魔法を使える。だが強力な魔法を使うと魔力が暴走する欠点があり、そう簡単に強力な魔法は使えない。

アキマはこの中の魔法使いで最年長であり、魔力制御の実力が一番強い。

ヒーコが強力な魔法を使うときにサポートしてあげる役目であり、世話役でもある。

ルメラは攻撃魔法がなく回復などの補助に長けていて、二人が重傷を負った時に

すぐに回復させることもできるヒーラーだ。彼女がいなければどうもできない。


ある程度敵軍を壊滅させたのち、街の中央から大きな気配がした。

「これは...召喚されたの!?」

「まずい!氷炎龍フロイアドラゴンだ!このままあれが街に放たれればっ...」

早く倒しにいかなきゃ!」

「そもそも倒せるのかあれを!」

ヒーコたちは出てきた怪物の元へと向かい、とにかく討伐優先に

街を守るために戦うことにしたのだ。


「スパークショットー!」

ヒーコが電撃を龍に放つが、まったく効いた様子がなくそのしっぽで

ヒーコを突き飛ばす。


「きゃあっ...」

壁に激突し動けなくなったヒーコの代わりにアキマがドラゴンに

魔法を放つ。

「ポイズンアロー!」

毒の矢は刺さったものの、毒が効くまでには時間がかかりそうで、

それでも龍は待つのを許さないように彼女に龍の氷炎吐息アイスフレイムブレスを放ち、大ダメージを与えて戦闘不能までに一瞬で追い込んでしまった。


「アキマさん!...よくも!!」

ヒーコを介抱していたルメラが二人を倒されたことに怒り、

その力を解放した。

ルメラはサポート系などではなく本来の力は肉体を強化する魔法。

それで幾度となく魔物を倒していたのだが、数年前に誤って恋人を殺してしまったことを機に使わなくなっていた。だが、今回は二人を守るために

全力の力を出し、龍へと立ち向かった。


龍へと渾身のパンチを加えると、その場には耐えたが龍の翼や指がボロボロになり、

体にも複数傷ができていた。

「まだまだ!こんなもんじゃない!」

ルメラはお構いなく龍を殴るが、そこでアクシデントが起きた。

肉体強化の魔法が早くも切れ、そのまま龍につかまれてしまう。

「は、離して...」

苦しそうにもがくルメラだったが、そのまま床に投げられ、衝撃で意識を

失ってしまった。


そこでヒーコが目を覚まし、周りの状況を見る。

龍は重傷だが、まだこちらを襲う気力はあるようで再度吐息ブレス

放とうとしていた。

だが、ヒーコは魔力を解放してそれに真向から立ち向かおうとしていた。

「...さあ、いくよ!」


魔力を全力で溜め、衝撃波として龍に放出するがそれでも龍はまだ吹き飛ばず、

吐息を撃って対抗してきた。だが、先ほどまで倒れていたアキマが

ヒーコのそばに来てから肩を掴み、ヒーコに魔力を流し込む。

「私たちで頑張るのよ!これで終わりにしなさい!」

と、一気に衝撃波が強くなり、龍の体が崩壊してゆく。

「私も...います!」

そこにルメラがいつの間にかいて、さらにヒーコへと魔力を注ぎ込んだ。


「みんなのこの願い...無駄にするわけにはいかない!」

そして、一気にヒーコは気合を入れ衝撃波を破壊へと変える...

「はああああ!!!」

三人の声が響き、龍は体を粉砕され消失した...


三人は地面に横になり、それぞれ助けてくれたことに感謝を申し…



『ちょっと、太田!何やってんの!早くゲームセンター行くよ!?」

「ん...あ!?あ、ごめん。」

目が覚めると後ろには俺の彼女がいた。どうやら眠ってしまっていたらしい。

「ごめん、片づけたら今行くよ。」

そして近くにあったキャラメルマキアートを飲み干そうと思ったのだが、

気が付けばその中身は既に入っておらず、その底には

先ほど創造していた物語の主人公が映っていた...


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この小説はblueskyアカウント「野口ケン」様からのリクエストでした!

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コーヒーとキャラメル 拉麺眼鏡 @lens_pain

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