2. 母娘

「ねえサエちゃん。お母さん、親子丼したいんだけど」

「許すと思ったか? お祖母ばあちゃんとでもやってろ色ボケババアが」

「ソレをお父さんにやったから逃げられたのよ」

「最悪だ、知りたくなかった」


 慣れ親しんだ我が家の食卓、私の目の前でテーブルを挟んで両肘を突き、組んだ両手へ額を乗せて項垂れる合法ロリ娘はサエちゃん。


 美人さんなのだけれど、身長も胸も色々と足りてないのは生みの親として責任を感じるわね。趣味性癖は瓜二つなのに何故かしら、と頬に右手を当て、左腕でこれ見よがしに自慢のおっぱいを持ち上げれば、射殺すような眼光が向けられるけど当然の如くスルーよ。


「お父さん、前から何かと口うるさかったのよねえ。「家の中を全裸で歩くな」だの「昼間からエロゲ遊ぶな」だの「オナニーはせめて聞こえないようにやってくれ」だの」

「全部正論に聞こえるのは気のせいかい?」

「それでショック療法と思って、お祖母ちゃんと一緒に夜這いかけたんだけど」

「ショック過ぎて二度と勃たなくインポになってるだろうが! どんだけ搾り取ったんだよ!?」

「いやだって、泣いて喜んでるのかと思って……」

「天然モノのイカレ女やば……。僕よくこの親の下でまともに育ったな」


 コレでまだ自分がまともだと思ってるんだから、サエちゃんも大概よねえ。私と比較して相対的にと言われたらぐうの音も出ないけど。


「お母さんと比べたらトウリ君ですらまともだよ。倫理道徳を意識的に捨てられる異常者と、始めからぶっ壊れてる破綻者を一緒にするな」

「褒めても何も出ないわよ?」

「話が通じない……。トウリ君助けてえー……」

「サエちゃんは本当に彼のことが好きねえ。処女膜発酵するまでお一人様ソロ貫くと思ってたのに、こんなドロドロのデレデレになっちゃうなんて」

「フハハ羨ましかろう。お母さんには指一本触れさせないよ」

「本当に羨ましいわあ。最近どうなの? ちゃんと中出ししてもらってる?」

「母親が娘に求める近況報告か? コレが……。最低十回一セットで毎日してるよ」

「よくもげないわね彼。インキュバスか何か?」

「一人じゃロリ本エロゲAI絵ぶん回しても一日三~五回が限界って言ってたから、僕に対してだけなんだろうね。何なら休日は朝昼晩で三セットコースだよ」

「元から割とおかしかったのが、理想のメス見つけて余計にぶっ壊れちゃったのね。良いことじゃない。避妊はしてるのよね?」

「薬ならちゃんと飲んでるよ、生理嫌だし。……たまに飲むの止めてやろうかと思うけど」

「ダメよッ!!!」

「うわびっくりした」

「避妊はちゃんとしなさい! 絶対だからね!?」

「え、何、いきなり母親ヅラかい? 何言われようがいつか子供くらい――」

「子作りセックスはお互いに覚悟決めて準備万端でヤるのが最高に気持ちイイからに決まってるでしょうッッッ!?」

「――(絶句)」

「お互いに欲しい欲しいって頭バカんなるまで求め合って、ベッドが汗と涙とヨダレと本気汁でどろぐちょのべっちゃべちゃになるまで、卵子溺れちゃうほど子宮おなかいっっっぱいに精液注ぎ込まれるのがいいんじゃない!? 確かに彼なら事故って防御貫通しても構わず受け入れてくれるのだろうけど、私は可愛い可愛い一人娘のサエちゃんにそんな味気ない赤ちゃんお迎えしてほしくないのッ!」

「泣くほど? 身を抱いてよじるほど?」

「受精着床アクメなんて一生に何回もキメられるものじゃないんだから、お迎え準備万全に発情しきったメスのカラダで幸せ一杯に味わいなさい! お尻でも二穴でも三穴でも、青姦痴漢公衆トイレ路地裏プールでも、全裸首輪に深夜の公園お散歩コースでも女装逆転カマ掘りプレイでもどんな異常性癖アブノーマルだって好きにすればいいと思うけど! お互いにその気が無いうちの妊娠は絶対にしちゃダメ! お母さんからの一生のお願いよ!?」

「イロイロと突っ込みたいことはあるんだけど、とりあえず僕がこの世に生を受けた瞬間をエロマンガのフィニッシュ後一コマに堕とすのやめてくれない?」

「大丈夫よ人間なんてどいつもこいつも男女サルがチンコマンココスり合った結果恥も知らずにその辺うろうろほっつき歩いてアホ面晒してるんだから。エロ本フィニッシュ後のアフターですら語られないつまらない話だわ。

 ところでお母さん的に、子沢山家族って絶対女が妊娠の快楽にハマった末路だと思うのよね。そうじゃなきゃ鼻からスイカ五回も十回も耐えられないわ。羨ましいことねえ……」

「存在自体が各方面に失礼だよこのメス豚。コレ屠殺するのは僕の天命か?」


 私とのレスバで鍛えられた罵倒はいつも通りの調子で、でもちょっと頬っぺた赤いのは絶対に頭ン中ド淫乱ピンク色の花ビラ猛吹雪してるのでしょうね。


 今夜はところにより激しい雨が降るでしょう。


 バッグに盗聴器でも仕込んでおこうかしら。


 なんて、思いつつ。


「サエちゃん。今、幸せ?」

「……死んでもいいくらい幸せだよ。お母さんのおかげとは一生思わないけどね」


 減らず口叩きつつも、全身から幸せオーラ垂れ流しの愛娘に、頬が綻びます。


 こんなバケモノ女の娘でも、ちゃんと幸せになってくれたのね、と。


 今日もどこかで、小さな奥さんの帰りを心待ちにしているのでしょう、素敵な旦那様へ。






 心からの感謝を、捧げながら。






「――ところでサエちゃん。お母さん、親子丼したいんだけど」

「話聞いてたか? 脳に膣液詰まってんのかこのアバズレババア」






        ◇






「だから母は書くなって言っただルルォ――ッ!?」

「サエがこんな面白い話持って帰ってくるのが悪いんだろうが! オラッ! 投稿ッ!」











―後日談:終―





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マッチングアプリで出会った相手が(以下略) ヒセキレイ @hisekirei

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