第9話
朽ちた街がある。
元々は戦場であった。
KGと機械生命体との戦争によって殆どの建物が破壊され尽くされた。
しかし、人類はそれでも、住処を求めて、残された建物に棲んだ。
其処から、戦争が終わり、復興作業が行われる。
皮肉にも、機械生命体の残骸が近く、それを使用した事で予定以上に復興作業が九割完了。
今では、数ある賑わいを見せる街の一つである。
トラックを動かしながら、ガレージ付きの賃貸事務所へと納車する。
トラックから外に出る桜賀紫電は疲弊した顔をしていた。
荷台から、全裸で出て来るラヴィ。
銀髪を左右に揺らしながら、舌を出して疲れた貌を表現する。
「あー、もう、疲れたぁ!」
ラヴィはそう言いながら、桜賀紫電に抱き着いた。
彼は、彼女の抱擁に対して苛立ちを覚えながら言う。
「服着ろ、貧相な体を見せんな」
そう言いながら、桜賀紫電はトラックからキャスパリーグを肩に担ぐ。
VR.T.O.Cを延々と流し続けている為か、キャスパリーグは精神的に摩耗していて、動く素振りを見せなかった。
「あせだくなんだもん、さっさとシャワー浴びたいなぁ」
そう言いながら、ガレージの階段を上がるラヴィ。
その後を追う様に、桜賀紫電も階段を昇る。
ラヴィが階段を昇った後、扉を開けて部屋の中に入る。
桜賀紫電が借りた事務所は、一階がガレージであり、二階が部屋となっている。
そして、事務所兼自宅であり、リビングには様々な家具が置かれていた。
そのまま、桜賀紫電はキャスパリーグを仮眠室へ連れて行くと、そのままベッドの上に彼女を置いた。
「暫く其処に居な」
そう言ったが、彼女の耳には届いて居ないだろう。
桜賀紫電は疲れた様子で額の汗を拭う。
汗で濡れた体が気持ち悪いので、シャワー室へと向かうが、既にラヴィがシャワーを使用していた。
「入るぞ」
だが、そんな事知るかと言いたげに。
桜賀紫電はズボンを脱ぐと共にシャワー室へと入っていく。
「オーガ、狭くなっちゃう」
そう言いながら、彼女はボディーソープをプッシュして手で泡を作っている。
シャワーから出て来る水は冷たく、毛穴が引き締まる感覚を桜賀紫電は覚えた。
「別に良いだろうが…あー、冷てぇ」
そう言いながら髪の毛を洗う桜賀紫電。
ラヴィは泡立てた指先で、自らの胴体に塗りたくっていく。
細い指先が、彼女の体を満面に泡だらけにしていくと、桜賀紫電の後ろに体を押し付けた。
「せなか、洗ってあげる」
卑猥な笑みを浮かべるラヴィに、桜賀紫電は面倒臭そうに言った。
「今日は疲れたからやらねぇぞ」
情事に関しての話である。
それを聞いたラヴィは至極詰まらなさそうに、口を尖らせた。
改造人体ヒロインたちを粗末に扱う元最強のロボット操縦士は荒廃した世界で機械生命体を壊して売って生活する、現代ファンタジー 三流木青二斎無一門 @itisyou
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