改造人体ヒロインたちを粗末に扱う元最強のロボット操縦士は荒廃した世界で機械生命体を壊して売って生活する、現代ファンタジー

第8話

数時間。

辺りが暗くなって来た頃合い。

『オーガ、ねえ、オーガっ』

インカムからラヴィの声が聞こえて来た。

空調の効いたトラックの中でうたた寝していた桜賀紫電。

寝起きの声で彼女の声に反応した。

「あぁ？おれだ…どうした？」

桜賀紫電が彼女の声に応えた。

『作業完了したって』

「あ？…あぁ、そうか…はぁぁ…」

軽く伸びをして桜賀紫電はラジオの音量を下げた。

すると、くぐもった声がトラックの奥から聞こえて来る。

「ぁ…ひぐっ…ぁんッ」

アダルトビデオの体感型映像道具を挿し込まれたキャスパリーグが喘いでいた。

太腿を挟み込む様に強く股を閉ざしながら、恥辱と興奮と快感を覚えている。

あれから数時間が経過していた為に、彼女は何度も絶頂していたらしい。

「ラヴィ、トラック二台あるだろ、一台の方をタイヤの空気でも抜いて走れなくしておけ」

桜賀紫電はインカムでそう伝えた。

「そんで、回収用のKG（キル・ギア）の方だが…これ以上、殺すのは面倒だ、正当性に欠けるからな、足を破壊して動けなくしとけ」

桜賀紫電が殺したのは、あくまでも自分の命を脅かそうとした銃火器を所持していた取り巻きだけだった。

回収用のKG（キル・ギア）を操作する人間も殺せば、流石に心証が悪くなると、桜賀紫電は思った。

『はぁーい』

間延びした声と共に発砲音が響いた。

二発、三発と、音が鳴り止むと、再びインカムから声が聞こえて来る。

『私はどうすれば良い？』

「荷台の上に乗っとけ、このまま、発進するぞ」

トラックの残量を確認する。

流石に中古のトラックとは違い、機械生命体に使用される中枢核を利用して稼働しているらしく、エネルギーは無尽蔵にあった。

『これからどうするの？』

ラヴィの質問に、桜賀紫電は言う。

「アジトに戻って、交渉だな…『魔祓聖園（ディスペルヘイヴン）』の傘下だが…直接応対する筈が無いから、…まあ直系の鉄屑屋に連絡でもしとくか」

と、その様に桜賀紫電は決める。

『…そのネコはどうするの？』

後ろで喘ぎながら痙攣しているキャスパリーグを見る。

これ以上、殺す事は反感を買うと言った手前、捨て置く事は出来なかった。

「まあ、使えるか分からんが、交渉の一つだな、アジトに連れて行くぞ」

そう桜賀紫電は決定するのだった。