第7話


アタッシュケースだ。

それには、見覚えのある企業ロゴが備わっていた。

それを見て、桜賀紫電は中を開けると、予想通りなものが入っていた。


VR.T.O.Cバーチャルリアリティ・トーチャーか…?良い趣味してんじゃねぇか」


グロテスクな内容や洗脳用に繰り返し流し込まれる刷り込みの動画。

これらを直接、接続プラグに突き刺して流し込む事で人格に変化を齎す映像道具である。


「キャスパリーグ、これ使って何人壊して来た?」


「知るかよ、このあたしをバカにしやがった奴、全員だ!!」


キャスパリーグは喉奥から笑い声を漏らした。


「あたしをバカにしやがった奴、こいつをつけりゃ、誰もあたしに逆らう事は出来ねぇ、何度も何度も、外して下さいって懇願してきたぜ!!拘束がなけりゃ、テメェにだって着けてやった!!」


成程、と桜賀紫電は頷いた。

ディスクを設置する本体に手を掛ける桜賀紫電。

中を開けてディスクの内容を確認すると、拷問された売人の記憶をディスク化したものだった。

接続プラグを挿入した人間に、記憶を追体験する事が出来るのだろう。

ケースの中には、ディスクだけが無造作に入れ込まれていた。

その中から適当なものを物色する桜賀紫電。


「おい、なにを、探してやがる」


「あ?あぁ…気にすんな、単なる遊びだ」


何か、悪寒を感じたキャスパリーグ。

手頃なディスクを確認した桜賀紫電はそれを本体に入れた。


「な、何を入れやがった、テメェ!!」


「殺人、拷問、薬物摂取…趣味の悪いもんばっかだな、…んで、アダルトビデオのもあったけど、これもお前の趣味か?」


「…おい、何考えてやがる、おいい!!」


彼女は体を動かした。

だが、桜賀紫電は彼女の頭部に映像器具を取り付けた後、首に備わる挿入口に接続プラグを押し込んだ。


「口が喧しい、聞く耳が持たねぇ、だから、どうせ喋るのなら、女らしい言葉を使った方がマシだぜ」


「やめ、やめろッ、これ、百八十時間イきっぱなしの」


スイッチを押す桜賀紫電。

映像器具が動き出し、キャスパリーグが悶えだした。


「まあ楽しめや、そっちの方が幾分マシだ」


そう言って、桜賀紫電は運転席へ移動した。

そして、トラックのラジオを付けると、音量を最大にして回収が終わるのを待っていた。


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