第6話

『じゃあ、どうすんの?』


心配するラヴィの声に、桜賀紫電は答えた。


「権利の主張だ、撃破時の記録データがある、法的に見れば、俺達に正当があるだろうが」


そう答えた時。

ベッドの上でミノムシの様に蠢くキャスパリーグが目で訴える。


「むーっ、むーッ」


トラックの後ろを見る。

結束バンドで縛られたキャスパリーグが此方を睨んでいる。

口元には布で猿轡をされていた。


「…なんだ?」


彼女の口に付けられた猿轡を取り外して聞く。

深く、肺に溜まる様に呼吸をするキャスパリーグ。

同時に口を大きく開いて叫んだ。


「てめぇ!キャスパリーグにこんな真似して、ただで済むと思ってんのか!?あぁ!!」


即座に、桜賀紫電は後悔した。


「あー…猿轡外すんじゃなかった」


きゃんきゃんと吼えるキャスパリーグの声。

聞くだけでも耳が痛く、面倒臭そうに桜賀紫電は頭を掻いた。


「あたしのバッグに誰が付いてんのか分かっての所業だろうな!?ああ!!お前なんか、海に泳ぐお魚の餌にしてやるッ」


彼女の言葉に、桜賀紫電は即座に答えた。


「『魔祓聖園ディスペルヘイヴン』だろ?」


鉄屑屋としての組織名である。

三十以上の鉄屑屋チームの上に立つ大組織。

キャスパリーグはその傘下であり、数多くの横暴も組織の後ろ盾があったからこそだ。


「そうだ、そんであたしは『泥棒猫ケットシー』のキャスパリーグッ、テメェなんか、苑長に言えばすぐにでもッ」


叫ぶ彼女の頭に向けて拳を叩き付ける。

殴られた衝撃で押し黙るキャスパリーグ。


「下っ端如きに上が構ってくれるワケねぇだろ」


悪名は轟いている。

だが、それは中心部より離れた、郊外での話だ。

確かにキャスパリーグは『魔祓聖園ディスペルヘイヴン』の傘下なのだろう。

だが、組織にとっての重要な人物ならば、こんな錆びれた土地で活動をしている筈が無かった。


「うるせぇ、死ねッ!拘束が無けりゃ!あたしの|KGキル・ギアでぶっ殺してやったのにっ!!」


彼女の言葉など聞く耳を持たず。

高級感漂うトラックの中を散策している桜賀紫電。

その際に、あるものを発見した。



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