とあるところのリラックマ
土岐三郎頼芸(ときさぶろうよりのり)
黒ずんだ瓦礫の下のリラックマ 埃まみれで幼児と眠る
黒ずんだ
リラックマ
いつのことだかわかりません。
どこの町かはわかりません。
どこの国かもわかりません。
この幼児が男の子か女の子かも
わかりません。
この幼児の肌の色や髪の色、
瞳の色もわかりません。
でも幼児といっしょにいるぬいぐるみは
テディベアでもミッキーマウスでもなく
日本のキャラクターのリラックマでした。
きっとストーリーがあったのでしょうが、
このリラックマがどんないきさつで
この子の手元に届いたのかも、
もうわかりません。
この子が生きているかもわかりません。
ただ、そのあまりに陰惨な
非日常の中のリラックマの
ヴィジョンが降ってきたせいで
わたしは涙を流しながら
出社することになったのでした。
とあるところのリラックマ 土岐三郎頼芸(ときさぶろうよりのり) @TokiYorinori
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます