僕らは

文綴言音

如月 歩

外に出ると様々な人が様々な話題で盛り上がっています。朝ごはんや、今日提出の課題、性癖や、好きな体位まで、人々は共有したくて堪らないといった様子でお喋りに興じています。それらの情報は目に毒です。早々に消えて欲しい。実は言うと、今日は頗る機嫌が悪いのです。今朝、雀の死体を見てしまいました。気分が悪い。おそらく大型の鳥類(大型といっても、この辺りには鴉ぐらいしか生息していない)が、雀を食べようと試みて地面に叩きつけたのだろう。そして、食べやすく砕いた雀をいざ食べようと地上に舞い降りたところ、雀を見失ってしまったのだろう。鴉が頭がいいというのは本当なのだろうか。上空から突き落とし食べやすくするというのは、確かに鳥にしては賢いが、見失ってしまっては元も子もない。

そもそも、「鳥にしては賢い」という考えが傲慢だ。人間の方が上であるということが前提に話さないで欲しい。見かけた鳥の死骸が、数日後にいなくなっていることが多々ある。僕の住まいが田舎だからかもしれないが、あの死体たちはどこに行くのだろう。無事に食べられたのだろうが。殺されている時点で無事ではないのだろうが、せめて美味しく食べて欲しいと思うものだ。人間だってきっとそう思うはずだ。牛や豚だってそう思っているということにして、我々人間(宗教の話は別として)食べているのだから、そうでないとおかしい。そんなことを考えているとチャイムのなる時間になる。1限は文学だ。あの雀はどうなっているのか、帰りに確認してみよう。

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